サイエンス

人工葉とバクテリアを用いて太陽光エネルギーから液体燃料を生成する技術が登場

By Nick Fedele

世界の人口増加に伴い消費エネルギーが増大しエネルギー資源の不足が問題視されている中で、ハーバード大学とハーバード大学医学大学院の研究員から成る合同研究チームが太陽光エネルギーから液体燃料を作り出す技術を開発しました。開発された技術では、自然でなく人の手によって作られた人工葉とバクテリアを使用するという新しい試みが取り入れられています。

Bionic Leaf | HMS
http://hms.harvard.edu/news/bionic-leaf


Efficient solar-to-fuels production from a hybrid microbial–water-splitting catalyst system
http://www.pnas.org/content/112/8/2337

ハーバード大学・ハーバード大学医学大学院の合同研究チームは人工葉バクテリアを使い太陽光エネルギーを液体燃料に変換する技術を開発。人工葉は特殊な触媒を使って太陽光エネルギーで水を水素と酸素に分解し、人工葉に存在するバクテリアに水素を供給。そのバクテリアが水素と二酸化炭素を液体燃料の2-プロパノールに変換するというわけです。

By Dima Andrei

開発された技術の核となるのが、水素を酸化して生存に必要なエネルギーを得るバクテリアの一種のラルストニア・ユートロファです。合同研究チームは、液体化した水素と二酸化炭素でできた水溶液で満たした容器にラルストニア・ユートロファを含んだ人工葉を入れて2-プロパノールを生成する実験に成功。実験結果では、1リットルの水から216ミリグラムの2-プロパノールを生成できることが判明しました。

合同研究チームの目標は、より多くの2-プロパノールを生成するために人工葉の能力を強化すること。実際にどのくらい生成能力を強化しようとしているのかというと、1リットルの水から216ミリグラム採取可能という現在の生成効率を、バイオマスを生産し燃焼する光合成のエネルギー効率の約5倍まで引き上げるという程度。

By Colin Burnett

ラルストニア・ユートロファを使って太陽エネルギーから燃料を作りだす試みは世界初というわけではありませんが、合同チームが開発した太陽光から液体燃料を生成する一連のプロセスは世界初となるとのこと。まだまだ実用レベルとはいえないそうですが、エネルギー資源の不足や地球温暖化が騒がれている環境情勢を少しでも改善できる可能性があり、今後の研究に期待がかかります。

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in サイエンス, Posted by darkhorse_log

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