サイエンス

これまでで最小サイズの惑星で水の存在が確認される

By NASA Goddard Space Flight Center

地球から123光年離れた太陽系外惑星の大気中に水の分子が存在していることが、ハッブル宇宙望遠鏡などを用いた調査の結果明らかになりました。今回の研究では、従来から水の存在が確認されている天体の中で最も小さい惑星が判明したのと同時に、今後の惑星探査をさらに進歩させる手法が確認されています。

Water found in a Neptune-sized exoplanet’s atmosphere | Ars Technica
http://arstechnica.com/science/2014/09/water-found-in-a-neptune-sized-exoplanets-atmosphere/

水の存在が確認されたのは、はくちょう座の方角に位置する惑星「ケプラー3b」です。その大きさは地球と比較して4.7倍の半径を持ち、26倍の質量を持つ天体で、これまでに水の存在が確認された惑星の中では最も小さなものとなっています。

これまでにも、地球から16.1光年という目と鼻の先にある惑星に地球とほぼ同じ大気・気温が存在することや、生命の存在が可能なハビタブルゾーン内に地球サイズの惑星が存在していることが発見されているのですが、今回のケプラー3bにまつわる発見では、今後の地球型惑星の探査を大きく進歩させる手法が確認されました。

調査には、ハッブル宇宙望遠鏡に加えてスピッツァー宇宙望遠鏡およびケプラー探査機が用いられ、ケプラー3bが恒星の前を横切る際に生じる光の変化を観測することで、大気の組成が詳しく分析されました。

探査の障害となったのが、惑星の大気中に存在するガスによる「雲」の存在でした。

惑星の大気の分析では、恒星から発せられた光が惑星の大気を通過する際にガスの分子によって光のスペクトルが変化する様子を観察するのですが、惑星の表面がガスの雲で覆われている場合にはこの観察が困難になることがありました。今回のケプラー3bではこの雲の層がほとんど存在しなかったため、大気の組成を分析することで水分子の存在が明らかになりました。


また、同様に観測の障害となるのが、恒星に生じる黒点による光量の変化です。非常に高精度な光センサーを搭載する観測機は黒点の発生による光量の変化をも感知することができるのですが、この変化が水の存在を示す変化と同じ兆候を示してしまうケースがあったといいます。

By Alessandro Strano

この問題を解消するため、研究チームは2台の観測機を同じ惑星に向けて同じタイミングで違う波長の光を観測。その結果、黒点活動による光の変化を分離して影響を排除することに成功し、ケプラー3bにおける水の存在が改めて確実とされることになりました。

なお、この観測における重要な役割を担ったのが、2009年にハッブル宇宙望遠鏡に装着されたWFC3(広視野カメラ3)と呼ばれる最新の機器だったとのこと。1990年に打ち上げられたハッブル宇宙望遠鏡にとっては第4世代の機器であると同時に、その任務における最後の改良として投入されたWFC3は、従来よりも広範囲な宇宙空間の観測を可能にし、未知の領域の調査を広げるものと期待されています。

まもなくその任務を終了するハッブル宇宙望遠鏡は徐々に地球に向けて高度を下げている最中で、2021年までに地球の大気に突入してその生涯を終える予定。その後は2018年に打ち上げられる予定のジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡がその役目を引き継ぎ、さらに宇宙の探査が進められることになっています。

By NASA Goddard Space Flight Center

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in サイエンス, Posted by darkhorse_log

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