ついにハードディスク容量は10TBに到達
By Tudor Barker
旧「日立グローバルストレージテクノロージーズ」で現在はWestern Digital傘下のHGSTが、世界で初めてストレージ容量10TB(1万GB)のハードディスク(HDD)を発表しました。
HGST Unveils Intelligent, Dynamic Storage Solutions To Transform The Data Center | HGST Storage
http://www.hgst.com/ja/press-room/press-releases/HGST-unveils-intelligent-dynamic-storage-solutions-to-transform-the-data-center
10TB SMR HelioSeal™ HDD | HGST Storage
http://www.hgst.com/ja/science-of-storage/next-generation-data-centers/10tb-smr-helioseal-hdd
2014年9月9日、HGSTは急激な成長を続けるクラウドサービスに対応するために6つの新製品を発表しましたが、その中に、10TBのHDDが含まれていました。この10TBのHDDは、一般的なサイズである3.5インチのタイプで、Shingled Magnetic Recording(SMR:瓦記録方式)と呼ばれる、トラックを一部重ねて記録する方式が採用されています。
SMRの技術については以下の記事を見れば理解可能。
ついに容量5TBのハードディスクが2014年に登場、2020年には20TBへ - GIGAZINE
SMRに加えて、10TB HDDではヘリウムガスを充填させる「HelioSeal」と呼ばれるHGST独自の技術も投入しているとのこと。
HDDへのヘリウム充填のメリットは以下の記事で詳しく解説しています。
HDD内にヘリウム充填で容量が40%増加、HDD業界に構造的転換が到来か - GIGAZINE
SMRとHelioSealの合わせ技で10TBの大台を実現したHGSTは、「10TB HDDは大幅な消費電力の低減と記憶密度の向上を実現しており、ランニングコストを減らし容量単価を引き下げることからデータセンターの拡大する容量・効率アップのニーズに応えられる」としています。
HGSTが指摘する「データセンターの需要拡大」とは、クラウドストレージサービスを想定するもの。DropboxやGoogleドライブなどのクラウドストレージサービスは生き残りをかけて低価格競争に突入しており、「より安くより大容量のストレージ」に対する需要は大きいと言えます。なお、クラウドストレージサービスでは、常にアクセスがあるわけではない「コールドストレージ」と呼ばれるデータの保存・管理が重要になるところ、10TB HDDはコールドストレージへ最適化されているとのこと。10TB HDDのサンプル出荷はすでに開始されています。
HGSTは10TB HDDの他にもHelioSealを導入した容量8TBの3.5インチS-ATAフォームファクタのHDD「Ultrastar He8」シリーズも発表。8TBのUltrastar He8は1.2TBプラッタを7枚導入する「7Stacデザイン」を採用しているにもかかわらず、従来の空気充填の6TB HDDと比較して23%の省エネを実現しており、こちらもすでに出荷がスタートしています。
Seagateが世界初の容量8TBのHDDを発表してからわずか2週間後に最大容量の記録は塗り替えられたことになりますが、ますます高まる大ストレージの需要を背景に、最大容量の拡大競争はまだまだ続いていきそうです。
・関連記事
ハードディスクはどこのメーカー製が一番壊れにくいのかが2万5000台の調査結果でついに明らかに - GIGAZINE
業界初最大容量6TBの3.5インチ型ヘリウム充填HDDをHGSTが出荷開始 - GIGAZINE
世界初の8TB HDDをSeagateが出荷開始 - GIGAZINE
業界初最大容量6TBの3.5インチ型ヘリウム充填HDDをHGSTが出荷開始 - GIGAZINE
ハードディスクの寿命傾向がストレージ会社が集めたデータから明らかに - GIGAZINE
Googleによると、ハードディスクは温度や使用頻度に関係なく故障する - GIGAZINE
ハードディスク価格が2011年タイ洪水以前の水準に戻るのは2014年以降 - GIGAZINE
・関連コンテンツ