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垂直磁気記録で世界初の10TBに到達したHDD「HGST Ultrastar He10」は何がすごいのか?


世界初の10TBハードディスクを発売したHGSTが、従来の瓦記録方式(SMR)とは異なる垂直磁気記録方式(PMR)でも10TBの容量に到達したニューモデル「Ultrastar He10」を発表しました。Ultrastar He10シリーズは、SMRのようなランダムライト速度の低下がなく、高速書き込み性能を持つ高速大容量HDDとなっています。

Western Digital Corporation Is Now Shipping World’s First Helium-filled 10TB PMR HDD To Meet Exponential Growth In Data | HGST
http://www.hgst.com/company/media-room/press-releases/western-digital-corporation-is-now-shipping-worlds-first-helium-filled-10TB-PMR-HDD-to-meet-exponential-growth-in-data

Western Digital Expands HGST Helium Drive Lineup with 10TB Ultrastar He10
http://www.anandtech.com/show/9830/western-digital-expands-hgst-helium-drive-lineup-with-10tb-ultrastar-he10

HGST beats Seagate to market with helium-filled 10TB hard drive | Ars Technica
http://arstechnica.com/information-technology/2015/12/hgst-releases-helium-filled-10tb-hard-drive-seagate-twiddles-shingled-fingers/

Western Digital傘下のHGSTはすでに、SMR技術とHDD筐体内にヘリウムを充填することで高速回転するプラッタ間の摩擦を減らして振動を抑える技術「HelioSeal」の合わせ技で、一般的な3.5インチサイズに7枚ものプラッタを内蔵することで、10TBという大容量化を実現。世界初の10TB容量を実現したモデル「Ultrastar Archive Ha10」を2014年9月に発表して、ライバルのSeagateに容量競争で先んじていました。


しかし、SMRでは記録するトラック間の隙間をなくし場所によっては瓦のように重ねながらデータを書き込むことで記録密度を向上させられる反面、複数のトラックをまとめてブロックとして扱い、トラックが埋まるまで順次書き込んでいくシーケンシャルライトライクな書き込みをする構造上、書き込み速度、中でもランダムライトの速度が著しく遅いという欠点がありました。つまり、SMRでは大容量化を実現するためにPMRに比べて速度面では不利だったというわけです。


これに対して新型「Ultrastar He10」は、記録方式に従来から用いられてきたPMRを採用しヘリウムを封入するHelioSeal技術と組み合わせることで、高速アクセス性能を維持したままで、10TBの大容量HDDを実現。プラッタは従来の10TBモデルと同様に7枚となっています。


さらに、一般的なヘリウム充填モデルに比べて、容量1TBあたりの消費電力(W/TB)を56%も低減しているとのこと。このため、環境に配慮したデータセンターなどの用途に最適だとHGSTは述べています。


Ultrastar He10はSATA(6GB/s)とSAS(12Gb/s)の2種類のインターフェースでラインナップされており、いずれもバッファメモリは256MB、ディスク回転数は7200rpm、平均故障間隔(MTBF)が250万時間で5年保証付き。


もちろん厚みは一般的な3.5インチHDDと同様、26.1mmに収まっています。


HGSTはUltrastar He10(10TBモデル)の価格を明らかにはしていませんが、Ars Technicaは実売価格を800ドル(約9万6000円)と予想しています。

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in ハードウェア, Posted by darkhorse_log

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