「ハイスコアガール」の著作権侵害でSNKがスクエニを刑事告訴した理由とは?
大阪府警生活経済課が「スクウェア・エニックス」本社を8月5日に家宅捜索したというとんでもないニュースが報じられていますが、なぜそのようなことになってしまったのかという経緯を刑事告訴したSNKプレイモアが公式サイトで説明しています。
【PDFファイル】株式会社スクウェア・エニックス等に対する刑事告訴について
http://www.snkplaymore.co.jp/pdf/140806_1.pdf
まず、刑事告訴されるきっかけとなったのが月刊ビッグガンガンで連載中の押切蓮介による90年代アーケードゲームラブコメマンガ「ハイスコアガール」で、2012年に1巻が発売され、現在は5巻まで発売済みとなっており、以下の2本の公式PVを見るとどのような内容かがわかります。
「ハイスコアガール」PV公開 「スト2」「FF5」とコラボ - YouTube
12月25日(水)の第5巻通常版&初回限定特装版の発売を記念して、[ハイスコアガール]のPVを公開!! 3人のそれぞれの想いが詰まっているこの美麗PV!バックミュージックには初回限定特装版に付いている「ナムコ」アレンジミュージックCDからアノ曲が使用されているぞ! 必見!!
公式サイトを見ればわかるようにカプコンなどとはうまく協力できており、カプコン公認として「第5巻発売記念イベント『STREET FIGHTER Ⅱが一番強いのは俺だ!!トーナメント』開催決定!!」なども行われています。
しかし、SNK社によると「株式会社スクウェア・エニックスは、当社の許諾を受けることなく、当社が著作権を有する多数のゲームプログラムのキャラクターを複製使用した漫画「ハイスコアガール(著者:押切蓮介氏)」を出版し、当社の著作権を侵害しました。当社は、重大な違法行為を厳重抗議すべく、株式会社スクウェア・エニックスに対し、「ハイスコアガール」の電子書籍、単行本、月刊誌その他の販売の即時停止を再三申入れましたが、なんら誠意ある対応がなされませんでした」とのことで、突然刑事告訴したわけではなく、事前に話はしていたようですが、スクエニ側が誠意ある対応をしなかったのが原因のようです。
「なんら誠意ある対応がなされませんでした」の詳細な中身は不明ではあるものの、以前にGIGAZINE10周年記念本「未来への暴言」を出した時にその中でスクエニとの著作権をめぐるバトルをさらっと暴露して書いたように、スクエニはその一部にどういうわけか「一部上場企業」だということで高圧的態度を取るのが常態化している部署・社員がいるのは確かで、「民事的にはどうにもならない」「まったく交渉する余地がないぐらいに突っぱねまくって話をすることすらできない」というような状態に陥りやすく、仕方がないので刑事告訴しに行くかどうかを真剣に検討するため、GIGAZINEも大阪府警に相談したこともあるほどでした。
そのため、SNK社側もおそらく「即時停止を再三申入れ」の前に何らかのやりとりをしたものの、大手上場企業であるスクウェア・エニックスがSNK社をまともに扱ってくれないため、どんどんとお互いにエスカレートしていき、このような悲惨な状態になってしまったのではないかと推測されます。
あるいは逆にSNK社側が速攻でぶち切れて「電子書籍、単行本、月刊誌その他の販売の即時停止」を最初から要求したため、それに呼応してスクエニ側が最初から態度を硬化させてしまった可能性もありますが、いずれにせよ、渦中にある「ハイスコアガール」がどうなってしまうのか、そして同様にして作中で現実に存在するゲームを出している他作品の動向などにも要注目です。
2014/08/06 13:02追記
スクウェア・エニックス・ホールディングスから「本日の一部報道について」ということで以下のようなリリースが出ました。
【PDFファイル】本日の一部報道について
http://www.hd.square-enix.com/jpn/news/pdf/20140806_01.pdf
リリースによると昨日8月5日(火)に著作権法違反の疑いで警察当局から家宅捜索を受けたのは事実ではあるものの「当社およびスクウェア・エニックスは、捜査に全面的に協力しておりますが、現在、警察による捜査が行われているため、本件に関する詳細の公表は控えさせていただきます」とのことです。
・つづき
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