著作権の「非親告罪」化をTPPの秘密交渉で検討していることがWikileaks上で暴露される
By Caelie_Frampton
2013年11月13日、世界中の機密情報を告発することで知られるWikileaksが、TPP協定(環太平洋戦略的経済連携協定)の草稿の一部を公開しました。草稿の内容は主に知的財産権について記されており、「2013年8月30日」の日付が入っていることからごく最近のものと見られています。
Secret Trans-Pacific Partnership Agreement (TPP)
http://wikileaks.org/tpp/
WikiLeaks publishes secret draft of Trans-Pacific Partnership treaty | The Verge
http://www.theverge.com/2013/11/13/5099236/wikileaks-publishes-leaked-draft-of-tpp
TPP協定は、アメリカ、日本、メキシコ、カナダ、オーストラリア、マレーシア、チリ、シンガポール、ペルー、ベトナム、ニュージーランド、ブルネイの加盟国間で交渉が持たれていますが、Wikileaksによって公開された全95ページの草稿は、主に知的財産権や製薬の特許関係について書かれています。
By Chris Wieland
The Sydney Morning Heraldは公開された草稿をいち早く受け取り、「これは消費者の権利および利益を大きく度外視していると同時に、アメリカ政府と企業の利益を優先した内容です」と指摘しました。
さらに知的財産法の専門家であるマシュー・リマー氏は、「この草稿はハリウッド、音楽産業、Microsoftのような大手IT企業、製薬企業に有利な内容となっており、まるで大企業へのクリスマスプレゼントとして作られています」とコメントしています。
By Rupert Ganzer
Wikileaksの編集長であるジュリアン・アサンジ氏はプレスリリースの中で「もしこのTPP草案が通れば、表現の自由や知的財産、クリエイティブ・コモンズを踏みつけにするでしょう。TPP協定は『創作活動家』、『農業(農家)』やその『消費者層』、『病気を持つ人』や『今後病気になり得る人』をターゲットにしています」と、加盟国に暮らすほぼ全ての人たちに影響がある可能性について述べています。
気になる実際の中身としては、例えば著作権に関する項目では、著作権を持っている権利者が権利侵害を申請していない状態であっても、警察などの非権利者が法的措置を実行できる「非親告罪化」が以下のように提案されており、ベトナムと日本は非親告罪化に反対していますが、アメリカ・ニュージーランド・ペルー・シンガポール・ブルネイ・チリ・オーストラリア・マレーシア・カナダ・メキシコは賛成していることが以下のようにして「Section G: Copyright and Related Rights」の部分に書かれています。
[US/NZ/PE/SG/BN/CL/AU/MY/CA/MX propose: VN/JP oppose: (h) that its competent authorities may act upon their own initiative to initiate a legal action without the need for a formal complaint by a private party or right holder].
ほかにもさまざまな権利・医薬品・特許などなど、山のような項目で各国の利害が対立しまくっていることがうかがい知れる内容となっています。
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