約32億6000万年前に地球に衝突した小惑星が大陸移動のきっかけとなった可能性

By NASA's Marshall Space Flight Center

アメリカのスタンフォード大学の研究員であるDonald Lowe氏とNorman Sleep氏が、南アフリカのバーベルトン緑色岩帯で調査を行なっていたところ小さな球状の石を発見しました。2人が球状の石を分析すると、約32億6000万年前に地球に衝突した小惑星のかけらであることがわかり、地球の大陸を移動させたきっかけになった可能性があるとする研究を発表しています。

Physics of crustal fracturing and chert dike formation triggered by asteroid impact, ∼3.26 Ga, Barberton greenstone belt, South Africa - Sleep - 2014 - Geochemistry, Geophysics, Geosystems - Wiley Online Library
http://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1002/2014GC005229/abstract

Massive asteroid may have kickstarted the movement of continents
https://theconversation.com/massive-asteroid-may-have-kickstarted-the-movement-of-continents-25528

2人が発見した石を分析した結果によると、地球に衝突した小惑星の大きさは少なくとも直径が37kmで、恐竜を絶滅させたと言われる小惑星の約4倍にもなり、時速7万2000kmで地表に衝突し、幅500kmのクレーターを地表に残したとのこと。この小惑星墜落の影響で、2011年東日本大震災の約100倍にもなるマグニチュード10.8もの地震が発生したそうです。「小惑星が墜落したことで地球の大気温度は一気に上がり、海面の上層は沸騰するまで水温が上昇した」と2人は研究内で述べています。

By Rob de Vries

ケンブリッジ大学のSimon Redfern氏は2人が小惑星の小さなかけらを発見するに至った理由について「バーベルトン緑色岩帯は、大陸や列島などを構成する地殻の中でも約5億4200万年前から約4億8830万年前までとされるカンブリア紀以前に安定化したクラトンと呼ばれる地殻の上に位置しています。クラトンは最も古く、安定している地殻なんです。小惑星が墜落した時、バーベルトン緑色岩帯は火山活動が活発であった海底にありました。そして、小惑星が衝突して大気中に舞い上がったかけらは、空気中で冷やされバーベルトン緑色岩帯の海に着水して、そのまま海底まで沈んだものと考えられます。その後、かけらは海底の火山活動の影響で、落下した場所から動かないように固まってしまったんです」と説明しています。

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41億年前から38億年前にかけて多くの巨大小惑星が月に衝突したとされる後期重爆撃期には、地球にも小惑星が衝突したとされている一方、地殻変動が原因でそのほとんどが発見されていません。

Lowe氏とSleep氏は「小惑星が衝突したとされる正確な場所を特定できなかった」としていますが、Lowe氏によると、研究では「小惑星による力で地球がどのように形を変えたか」という点にフォーカスしており、小惑星の墜落位置はあまり重要ではないとのこと。

今回発見された小惑星が地球に与えた影響の1つとして、2人は地球の大陸移動を挙げています。地球のコアの外側に位置するマントルの上には薄い地殻があり、地殻はプレートが重なって構成されています。大陸は、この地殻の上に載っているような状態。マントルの中に閉じ込められた熱によって発生した対流が、重なったプレートを押し上げ移動させる、これをプレートテクトニクス理論と言います。つまり、プレートが移動することによって上部にある地殻とともに大陸も少しずつ移動する、ということが起こり得るわけです。

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Redfern氏によると、「マントルが極めて高温になったとしても、地殻を動かすには別の何か大きな要因が必要だと考えられます。2人が発見した小惑星で発生した衝撃は、地殻を動かす大きな要因となった可能性は大いにあります」と述べていました。