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サイエンス

地球の内部に眠る「海」とは?

By Mark Rain

太平洋や大西洋などの「海」の容積は137京(10の18乗)立法メートルと推測されており、地球「上」の水分の97%を占めると言われています。しかし地球上の海水に負けず劣らず大量の水が、地球の内部にも存在していることが明らかになっています。

Dehydration melting at the top of the lower mantle
http://www.sciencemag.org/content/344/6189/1265

Hydrous mantle transition zone indicated by ringwoodite included within diamond : Nature : Nature Publishing Group
http://www.nature.com/nature/journal/v507/n7491/full/nature13080.html

Massive 'ocean' discovered towards Earth's core - environment - 12 June 2014 - New Scientist
http://www.newscientist.com/article/dn25723-massive-ocean-discovered-towards-earths-core.html

「地球の内部に水が存在するか?」という命題はかねてから科学者の間で議論があり意見が対立した問題でした。近年、その答えが解き明かされようとしています。

1969年に隕石の中から「ringwoodite(リングウッダイト)」と呼ばれるカンラン石が高圧で固められた鉱物が発見されました。リングウッダイトは1%を超える重量の水分を吸収・保持できるという特徴を持っており、地球内部のマントルにも含まれていると考えられてきましたが、地球での存在は確認されていませんでした。

2014年3月に、カナダのアルバータ大学のグラハム・ピアソン博士らの研究グループは、地球上で初めてリングウッダイトを発見したと科学誌Natureに発表し、地球にもリングウッダイトが存在することが明らかになりました。ピアソン博士はブラジル・ユイナで採取されたダイヤモンド塊をX線回折で数年かけて分析した結果、わずかにリングウッダイト成分が含まれていることを検出することに成功したとのこと。


地球上でのリングウッダイトの存在が確認されたことにより、マントルに存在するリングウッダイトが水分を保持している可能性が強く推察されていたところ、2014年6月13日付の科学誌Scienceで、ノースウェスタン大学のスティーブ・ヤコブセン博士らの研究チームが、地下700キロメートルのリングウッダイト層に水分の存在を確認したという成果を発表しました。

ヤコブセン博士は、2000台の地震計を使って500種類の地震波を計測しました。地震波は通過する岩石によって波の速度が異なることからこの速度を計測することで、地下に存在する岩石の種類を調べることができるところ、岩石を通過して伝わる地震波は水分にあたると速度が減速します。ヤコブセン博士は、地震波の速度を計測したところ、水分による減速が確認され、地下700キロメートルのマントル層を二層に分ける境界付近に水分を含んだリングウッダイトの存在を確認したとのこと。

By @Doug88888

ヤコブセン博士によると、地下700キロメートルの温度・圧力の下で水はリングウッダイトから絞り出されるように粒子間に存在するとのこと。今回の発見から、地球内部には地球上の海水の3倍の量の水分が含まれていると試算されており、「地球上の海水は地球内部のマントルからやってきたという十分な証拠になり得る」とヤコブセン博士は考えています。

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in サイエンス, Posted by logv_to