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小惑星採掘に暗雲か、投資に見あうだけの成果は得られにくいとの調査結果

By Christopher

地球の近くを周回する小惑星の地中に大量に存在するとされるレアメタル(希少金属)を宇宙ロケットとロボットを利用して採掘して地球に持ち帰るという計画が進められていますが、研究の結果では当初の予想を下回る採掘量しか得られないかも知れないことが明らかになってきました。

BBC News - Few asteroids are worth mining, suggests Harvard study
http://www.bbc.co.uk/news/science-environment-25716103


小惑星の資源採掘に関してはGoogleのラリー・ペイジ(CEO)が出資して支援を行うプラネタリー・リソーシズ社などが開発計画を明らかにするなど、地球上では貴重なレアメタルを獲得するための手法として注目が集まっていますが、ハーバード・スミソニアン天体物理学センターのマーティン・エルビス博士などが新たに開発した計算式を用いた試算では、太陽系内に存在してそのコストに見合うだけの資源を含んでいる小惑星は10個程度であることが分かりました。調査結果は主に物理学などの論文を多くアーカイブするarXiv.org(アーカイブ.org)で公開されています。

[1312.4450] How Many Ore-Bearing Asteroids?
http://arxiv.org/abs/1312.4450


これは従来の予測を下回るもので、小惑星開発計画に対して見直しを求めるものになりそうですが、一方でエルビス博士はその計画が妥当的であることも明らかにしています。博士は、小惑星採掘計画はプラチナやイリジウム、パラジウムなどの希少金属を含むM型小惑星をターゲットにするものと推定。その上で試算では、地球の近くを回る小惑星のうちこれらの金属を含むのはわずか1%であるという結果を公表しています。また、対象となる小惑星は地球から比較的近い距離にあり、到達して採掘した資源を持ち帰れるものであることが必要、としています。

プラネタリー・リソーシズ社の代表を務めるエリック・アンダーソン氏はこの調査結果について「かなり控えめに見積もられた数値である」と反論しています。アンダーソン代表は「M型小惑星はもちろん、その先には炭素系の物質を主成分としてより多くのプラチナ金属を含んでいるC型小惑星の探査を視野に入れています」とコメントしています。その上で、「エルビス博士の試算結果では10個程度と控えめになっているが、実際には100個単位、楽観的に見れば1000個単位の小惑星が対象になると考えています」と語ります。

By Lamerie

クイーンズ大学ベルファストのアラン・フィッツシモンズ教授は「試算結果はよくできているように思えるが、さらに多くの不確実性について触れる必要があった」とコメントを寄せています。小惑星の組成はまだ明らかでない部分が多いというのがその理由です。そして最後に「小惑星採掘事業は非常によくできた計画のように見えますが、そこには多額の投資が必要になってきます。国家レベルにもなる費用をどのようにして調達するか、その問題はまだ解決されていません」と一番の問題点を指摘しています。

小惑星開発に関してはプラネタリー・リソーシズ社のほか、新たにディープ・スペース・インダストリーズ社が計画を発表するなど、新たなビジネスモデルとして産声を上げようとしています。その実現には、カーボンナノチューブを用いた「宇宙エレベーター」が実用化される必要があるなど、まだまだ多くの課題は残されているようです。

By davidd

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in メモ,   サイエンス, Posted by darkhorse_log

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