「ヒッグス粒子」とは何かを「雪」で表現するとわかりやすくなる
By Stuart Williams
物質に質量をもたらす「ヒッグス粒子」の存在を予言した、ピーター・ヒッグス博士が2013年のノーベル物理学賞を受賞しました。「神の粒子」とも呼ばれ宇宙の仕組みを解明する鍵を握るとされるヒッグス粒子とは一体どんなものなのか、「雪」を使って説明されるとかなりわかりやすくなります。
What Is the Higgs? - Interactive Graphic - NYTimes.com
http://www.nytimes.com/interactive/2013/10/08/science/the-higgs-boson.html
「ヒッグス粒子」とは何でしょうか?
そもそも「ヒッグス場」とは何でしょうか?
それらは目に見えないので、たいていの人が説明するのに比喩を用います。
それは、その空間を通り抜けるモノを引っ張る性質を持つため、よく「飴」に例えられてきました。
しかし、今回は雪の世界を例えに使うことにしましょう。
スキーヤーは、ほとんど抵抗を受けずにゲレンデを進むことができます。
かんじきを履く人は、雪のせいでその歩みは遅くなります。
ブーツを履く人の歩みも、一歩ごとにゆっくりになっていきます。
けれど、空を飛ぶ鳥には関係ありません。
ヒッグス場とは雪の世界のようなもの。
無数の雪の結晶の代わりをつとめるのがヒッグス粒子です。
ヒッグス場と相互作用する物体は「質量」をもつようになります。
スキーヤーのようにヒッグス場を素早く滑走する電子は、ほんのわずかな質量を得ます。
陽子と中性子をつくるクオークは言わばかんじきを履く人で、ヒッグス場からより強い影響を受けるため、より大きな質量をもつことになります。
WボソンとZボソンはさながらスキー場(ヒッグス場)をブーツで歩く人であり、何千倍も大きな質量を持つことになります。
光子(フォトン)とグルーオンはまるで鳥のようで、ヒッグス場から影響を受けることはありません。だから質量をもちません。
50年前、物理学者は、なぜ「質量を持つ物質」と「質量を持たない物質」が存在するのか分かりませんでした。
そこで考え出されたのがヒッグス粒子であり、これまでずっと探し求められてきました。
ヒッグス粒子は、空を舞う雪の結晶のように消え去りやすく見失いやすいものです。
ヒッグス粒子の探求。
それは、まだ見ぬ雪の結晶を想像すること。
ついに、溶けた雪のなかから一欠片の結晶が見つけられたのです。
ヒッグス粒子を目で見ることはできません。
そしてヒッグス場からヒッグス粒子一つを取り出し感知できるセンサーもありません。
50年に渡って、物理学者は、より大きくてより強力な加速器を開発してきました。
互いに衝突し爆発します。ぶつかった陽子は消滅するかわりに大量のエネルギーが放出されます。
アインシュタインは「質量とはエネルギーである」と教えてくれましたが、さらに物理学はエネルギーは消滅しないと教えてくれました。
陽子の衝突により発生したエネルギーは小さな質量に変化し、多くの新しい粒子が誕生します。
CERNの加速器は荷電粒子をセンサー内で加速させ衝突させます。
1秒間に何百万回、時には何千万回繰り返し続けます。
なぜなら何かが起こるのを目撃するのは極めてまれなことだから。
何十億回の衝突のうちわずか一回だけ、ヒッグス粒子が姿を現します。
とはいえ、その瞬間を直接感知することはできません。だからお祝いもシャンパンも用なしです。
そしてヒッグス粒子は不安定で、すぐに分裂します。
何兆回もの衝突の後、ようやくヒッグス粒子の"兆候"が統計的に分布として現れる可能性が出てくるのです。
そして先日、より多くの衝突データから、これまで不確実だった存在が明らかにされました。
ついにヒッグス粒子の存在が確認されたのです。
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in サイエンス, Posted by darkhorse_log
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