「心」とは何なのか、人間以外の動物にも「心」はあるのか?

人の「心」というものは人間としてのアイデンティティとして欠かせないものですが、その実態はあまり理解されていません。教育系YouTubeチャンネルのKurzgesagtが、「動物は人間のような知性を持っているのか?」と題したムービーで心の捉え方について他の動物も例に挙げながら解説しています。
Do Animals Have Minds like Humans? - YouTube

心とは、意識・記憶・思考・感情などすべてが存在する内側の世界であり、思考や学習といった知的活動を支える基盤でもあります。心が特徴的なのは、外観や言葉などとは異なり、完全に自分だけが直接アクセスできる「個人的な空間」であり、他人が完全に理解することはできないという点にあります。

心の違いを説明する際によく使われるのが、イメージの個人差に関する例です。例えば「リンゴ」を思い浮かべるように言われた場合、スーパーに陳列されるリンゴを思い浮かべる人もいれば木になったリンゴを思い浮かべる人もいたり、大きさや色が人によって違ったり、鮮明な映像を想像するかぼんやりとしたイメージのみ浮かべるか差異があったり、そもそも映像ではなく感覚として理解する人がいたりと、人によってさまざまです。人の創造力は大きく個人差があり、約2~5%ほどは目を閉じると何かを思い浮かべようとしてもまったく空想上の像を描くことができない「Aphantasia(アファンタジア)」という状態にあるとされており、反対に頭の中で鮮明にイメージを想像できる状態は「Hyperphantasia(ハイパーファンタジア)」と呼ばれています。
頭の中でイメージを思い浮かべることができない「アファンタジア」と鮮明なイメージを瞬時に浮かべられる「ハイパーファンタジア」の研究の歴史 - GIGAZINE

心の仕組みそのものが人によって大きく違っている上で、さらにこうした特徴は人間特有のものではなく、さまざまな動物がそれぞれの「内なる世界」を持っていることが複数の研究で示されています。初期の生命である単細胞生物は細胞が「空腹」状態になると食べ物を感知してその方向に移動するという完全に反射的な行動をしていました。しかし生命が複雑化し多細胞化するにつれて、刺激に反応して行動する前に、感覚情報を短時間だけ処理できる時間的空間が発生しました。Kurzgesagtはこれを「ほんの小さな隙間」と表現し、心の始まりだと述べています。例えば線虫はわずか302個のニューロンしか持たないものの、「危険を学習する」「短時間の記憶を持つ」といった能力を持っています。これが心のような精神活動なのか、遺伝子にプログラムされた自動的な反射反応に過ぎないのかは、科学者の間で議論の対象となっています。

さらにニューロンが増えると、行動する前に情報を処理・解釈してより良い選択をするために「一瞬止まる」ことができるようになります。Kurzgesagtによると、ここで初めて生物の内なる空間、すなわち「心」が現れると言えるとのこと。例えばミツバチは約100万個のニューロンを持っており、ゴマよりも小さい脳からは考えられないほどの知的能力を有しています。ミツバチは花の位置を広範囲で記憶し、太陽を基準に道順を理解した上で、踊りを通じて仲間に情報を共有するコミュニケーション能力もあります。

また、タコは約5億個のニューロンを持っており、ニューロンの多くが腕に分散しています。各腕にはそれぞれ小さな神経中枢があり、味覚を感じたり局所的に情報を処理したりすることができます。タコの腕はある程度独立して意志決定を行うこともわかっており、つまりタコは1つの心ではなく複数の心が協調している可能性があります。

一部の鳥はさらに高度な知能を持っています。カケスという種はエサを埋めて保存しておく習性があります。これは、食べ物が腐ることを理解できていることのほか、他の鳥に見られたら隠し場所を変えるという「他の鳥の思考をシミュレートできる思考能力」があることを示唆しています。

約860億のニューロンを持つ人間の心が特別とされる理由の1つが、「他人が何を考えているか」「自分がどう思われているか」まで考える点にあるとKurzgesagtは指摘しました。赤ん坊のころに利己的だった人間も、成長するにつれ他人の行動や心をシミュレートするようになり、思いやりや警戒を学習します。同様に、「ストーリーを作り、共有する能力」も人間の特徴だと言えます。物語はすべて人間同士が内なるシミュレーションを共有する仕組みであり、「頭の中に思い浮かべたリンゴ」を表現して互いに理解することができるのは、人間の心が他の動物とは質的に異なるレベルに到達しているからである可能性があります。

ただし、人間の考えや感情は触れてきた他人の言葉や物語、文化によって大きく影響を受けています。Kurzgesagtは「つまり、心は完全に個人が無から生み出したものではなく、それ以前に存在した全ての人間の心との共同創造物なのです」と説明しています。
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