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宇宙は有限なのか?無限だとしたらどんな不思議なことが起こるのか?


宇宙は非常に広大で、現代の科学技術をもってしてもわかっていることはほんのわずか。「宇宙が有限なのか無限なのか」という古くからの問いにさえ人類は答えを持ち合わせていません。宇宙が有限である場合と無限である場合について、科学系YouTubeチャンネルのKurzgesagtが解説しています。

The Paradox of an Infinite Universe - YouTube


宇宙とは「すべての天体や空間を含む領域」のこと。しかし、私たちが観測できるのは「観測可能な宇宙」のみ。宇宙が誕生したのは今から約137億年前といわれていますが、宇宙は常に膨張しているので、観測可能な宇宙の大きさは137億光年よりももっと大きくなります。137億年前に発した光の源にある銀河は、宇宙の膨張を計算にいれるとおよそ450億光年かなたに存在することになります。


つまり、「観測する」というのは、私たちの下にたどり着いた光やエネルギーを捉えるということ。「観測可能な宇宙」の果てを考えた場合、これは時間によって生まれた壁なので、大きく見るとあまり意味がありません。


実際の宇宙は、観測可能な宇宙よりもさらに広大です。この全宇宙が有限なのか無限なのかは古くから存在する議論であり、今もなお研究されています。


「宇宙が有限ということは果てがあるはずだ」と思いがちですが、そんなことはありません。例えば、丸いオレンジの上を小さなアリが歩き続けると、ぐるりと1周して元の場所に戻ってきてしまいます。オレンジの表面は有限ですが、アリにとって果てとなる境界線は存在しません。


このオレンジと同じことが3次元空間上でも起こっている可能性があります。私たちは有限である地球上に存在していますが、目に映るのは地平線よりも手前側。例えば日本にいてもブラジルを観測することはできません。観測可能な宇宙が約450億光年ということは、この地平線までの距離が約450億光年ということになり、ここから計算すると、超球型の全宇宙は少なくとも観測可能な宇宙の1000倍は大きくなければなりません。ただし、宇宙の場合は多次元的に閉じた超球となるので、3次元空間に住む私たちが視覚化して認識することは不可能です。


「有限だけど果てはない」という形は決して球だけではありません。例えば、球だけではなく、ドーナツのような形(トーラス)も、「有限だけど果てはない」形になります。ただし、球だと同じ場所から違う方向に一周すると同じ距離を進むのに対して、トーラスだと同じ場所からスタートしても方向によって進む距離が変わります。


この性質によって、1つの星から放たれる光の距離が大きく変わります。そのため、ある星が生まれた瞬間と死ぬ瞬間を同時に観測するということもじゅうぶんあり得ます。このような奇妙な性質を持つ超トーラス型の宇宙だと、超球型の宇宙と異なり、最小であれば観測可能な宇宙の数倍程度の大きさになるそうです。


ここまではあくまでも「宇宙が有限である」という仮定に基づいた話。もちろん観測可能な宇宙の外側が無限の世界だという可能性もあります。

記事作成時点では、「インフレーション理論」が定説となっており、宇宙は超高温高密度のエネルギーの塊が「ビッグバン」と呼ばれる急膨張を経て誕生し、今もなお膨張していると考えられています。宇宙が無限だという前提と、宇宙が膨張し続けているという事実はまるで矛盾しているように思えます。しかし、膨張することと無限であることは矛盾しません。無限が膨張しても無限だからです。


宇宙が無限ということになれば、「構成する原子の1粒に至るまで自分と全く同じ存在が1つの宇宙内に自分とは別に存在している」ということもあり得ます。実際に起こる確率を考えるとほぼあり得ないのですが、何しろ宇宙は無限ということであればこういうことも起こり得ます。


もし仮に地球と同じ星が存在するとして、確率的には最低でも10の1029乗光年離れているそうです。これは観測可能な宇宙を優に超えます。つまり、無限の宇宙に自分と全く同じ存在が無限に存在したとしても、おのおのは観測可能な領域よりも離れているため、決して互いに交流することはできないというわけです。


ここまでくると科学というよりはSFの話のようですが、宇宙が無限であれば可能性があるという話であり、無限というのはそれだけ巨大で人類の意識を超越する概念になります。宇宙が有限か無限かはわかりませんが、ただわかっているのは「我々は半径約450億光年の宇宙しか観測できないが、それすらも人類にとっては広すぎる」ということです。

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in サイエンス,   動画, Posted by log1i_yk

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