世界中で食されるインスタントラーメンで日本企業がトップブランドになる可能性は?
「カップヌードル」「出前一丁」と日本を代表する日清食品のインスタントラーメンは世界各地でも見かけます。ただし、その地位は絶対的なものではありません。
北米では東洋水産の「マルちゃん」と激しい競争をしているのですが、日清食品の進出してない地域では、他の企業がブランドを確立しています。地元企業だけでなく、世界を代表する食品企業まで。増え続ける人口と同様に、インスタントラーメンの消費も拡大していくことは間違いありません。だからこそ、ラーメン大国の日本こそが、世界でトップブランドを確立して欲しいものなのですが……。
こんにちは、自転車世界一周の周藤卓也@チャリダーマンです。手軽に調理ができるので、インスタントラーメンは旅にも欠かせません。新しい国に入るとチェックする項目の一つ。今回はこれまでの旅における世界のインスタントラーメン事情をまとめてみました。
◆アメリカ市場
これまでが頼りなかったらこそ、アメリカ市場における日本企業の活躍には目をみはりました。「カップヌードル」の日清食品と「マルちゃん」の東洋水産が激しいシェア争いを繰り広げています。袋麺がだいたい20セント(約20円)、カップ麺が30セント~50セント(約30円~約50円)の販売。大きなスーパーで段ボールごと陳列されていたのも、大量消費アメリカならではの光景でした。アメリカのインスタントラーメンは日本と違って麺が柔らかめ。どうしてもフニャッとなってしまうので、袋麺なんかは茹でた後にお湯を切ってヤキソバのようにして食べていました。
アメリカにおける日清食品のカップヌードルは、容器の上から紙でも包装されています。
中身は日本と同じデザイン。薄いフィルムも一緒ですが、底面のシールで包装を破けるようにはなっていません。
蓋にはイラストつきの調理方法。
中身はこの様になります。日本と違って蓋はペラペラ。
1ドルショップで3個セットを1ドル(約100円)で購入できました。
こちらも1ドル(約100円)で5袋。日清食品の袋麺は「Top Ramen」の商品名で販売されています。
「BIG CUP NOODLES」という商品もあります。地方のスーパーで0.69ドル(約69円)でした。
ただし、これはスープパスタ。パッケージに描かれたスプーンが目を惹きます。
80gという表記。通常が64gなので16gだけ多いことに。
「CUP NOODLES」の名前ですが、ヌードルが細切れになっているのでラーメンではないですね。
一方マルちゃんのカップ麺は「Instant Lunch」という商品名。こちらもデザインはシンプル。東洋水産はアメリカに「マルちゃん(Maruchan)」という名前で会社を設立しています。
こちらも別個の紙の包装 です。
「ホット&スパイシービーフ」と刺激的な味。
濃厚な味わいの「チェダーチーズ」にはまりました。手持ちのチーズを加えると、更に美味しくなります。
マルちゃんの袋麺はこんな感じに。このまま持ち歩くと中身が崩れてしまうので、ケースに入れて持ち歩いてました。
6パックセットが1.14ドル(約114円)
アメリカでは常にストックを持っていました。朝に沸かしたお湯を魔法瓶に入れておいて、昼にカップ麺を食べることもありました。
インスタントラーメンに限らずインスタントヤキソバもあります。日清食品の「CHOW MEIN」という商品を73セント(約73円)で入手。中国語の炒麺(chao mian)を英語ではChow meinと呼ぶようです。
容器に具材と水を加えレンジで5分。最後にソースを加えたら出来あがり。湯切りの行程がありません。
インスタントラーメンに比べると麺に歯ごたえがあるのですが、湯を切らないので全体がベチョッとしてしまいます。湯量によっては、日本のようにパリッとしたヤキソバになるのでしょうか。
マルちゃんは「Yakisoba」と日本語で勝負。78セント(約78円)で手に入れました。
こちらも蓋には調理方法。英語とスペイン語の2ヶ国語表記になっています。マルちゃんも湯切りの行程がありません。アメリカだから「湯を切る途中に火傷した」と裁判になるのを避けるためなのでしょうか?
出来あがるとこんな感じに。
このアメリカの日清食品とマルちゃんのシェア争いは、そのままメキシコにも受け継がれています。
◆日清食品の海外進出
「カップヌードル」と「出前一丁」で海外進出を果たしている日清食品。インスタントラーメンを販売する日本企業としては、海外進出が一番進んでいます。北米だけではなく、ヨーロッパや中国でも見かけました。
カップヌードルといったらこのデザイン。
日本製は蓋にすべてが記載されています。
メキシコも容器とは別に紙で包装されています。チキン味にハバネロとレモンとメキシコ人は味に細かい。
中身は日本と同じデザイン。
蓋はアメリカと同じ調理方法のイラストですが、こちらはソースの分だけ行程が一つ多いです。
味にうるさいメキシコ人を納得させるハバネロソース付き。
出来あがればソースをかけて頂きます。味が重なることで、更に美味しくなっていました。
こちらもメキシコにあった海老入りのカップヌードル。
中国バージョンは「合味道」と漢字が目立っていました。
デンマークのカップヌードルはノルウェイと共通。トマト味なんて出てくるのもヨーロッパならでは。
食欲がそそられる蓋のデザイン。
ドイツは「CUP NUDELN」とドイツ語表記になっていました。インドの象徴でもあるタージマハルまで描かれたカレー味に裏切られることは無く、美味しかったです。
フランスにもカップヌードルがあったのですが、この国だけデザインが少し変。
出来あがりの写真も、あまり美味しそうではありません。
カップにはフランス語で「日清食品の由来」と「Teriyakiという味」について熱く語られていました。
袋麺では「出前一丁」を海外でみかけます。こちらはスペインで手に入れました。
GB=イギリス、F=フランス、D=ドイツ、NL=オランダ、S=スウェーデン、I=イタリア、E=スペインとヨーロッパを網羅。
出来あがりの写真が洋風スタイル。
みそ味もあります。
「日本の味をそのまま!」と日本語もデザインの一部?
オーストラリアでも「出前一丁」は手に入りました。英語と漢字の表記なので、香港あたりと共通なのかもしれません。
◆世界のインスタントラーメン
日本企業では日清食品が奮闘していますが、世界規模だとそこまでの存在感を感じません。たくさんの企業が、世界各国でインスタントラーメンを販売しています。インスタントスープで有名なクノールでさえ、何かしら作っているのですから、それだけ重要な市場なのでしょう。インドネシアの企業もヤキソバタイプの「ミゴレン」で、世界に攻勢を仕掛けています。
南アフリカでこれだけの味を揃えていたマギー。マギーは世界一の食品企業ネスレのブランドです。
ケチャップで有名なアメリカのハインツも、南アフリカでインスタントラーメンを手がけていました。
こちらも南アフリカで、棚の一角を占めていたインスタントラーメン。
北欧ノルウェーにあった「Mr.Lee」というブランドは韓国の農心。
アフリカで一番の人口(1億6000万)を抱えたナイジェリアで、圧倒的だったのがインドミーのミゴレン。同じ西アフリカのガーナでもインドミーは目立っていました。成長著しいアフリカでは、インドネシアの企業が確実に基盤を築いています。
カナダにまで置いてあったインドミーのミゴレン。麺を茹でてお湯を切って、具材とソースを加えたら出来あがり。ハム、トマト、チーズなどをトッピングすると更に美味しくなります。日本のヤキソバに近い感じです。
インドネシアの隣国になるオーストラリアにも、インドミーのミゴレンはありました。
パナマでは別のインドネシア企業のミゴレンを発見。
日清食品、マルちゃん以外の日本企業だって、海外でインスタントラーメンを販売しています。カナダでは「サッポロ一番」を見つけました。北米で日本に一番近い感じのインスタントラーメンでした。
サンヨー食品もアメリカに製造拠点があるようです。
スーパーでたくさんの種類が陳列されていたポーランド。その中でも味の素の「親方ラーメン」という袋麺が異色を放っていました。
味の素はパナマでも「Ajino-men」という袋麺を販売しています。
自動車や電化製品に比べると栄えませんが、生活を基本をなす食品こそ重要ではないでしょうか。車が無くても生きてはいけますが、食品がないと生きていけません。ネスレやクラフトフーズといった食品企業は、世界中に進出しています。世界進出の一番分かりやすい例はコカ・コーラです。紅茶ならリプトン、チョコレートならネスレ、ビスケットならオレオと世界では定番の形ができ上がっています。北米では優勢だった日清食品とマルちゃんは、グアテマラ以南では微妙になりました。南米のエクアドルだと、中国系の「伊麺」という商品が棚に並んでいます。世界ではインスタントラーメンの定番の形は出来ていません。
アメリカでは激しいハンバーガー競争で、マクドナルドやバーガーキングが海外に出ても成功する土壌を感じました。日本のインスタントラーメンだって負けてはいないでしょう。味にはうるさい日本人なんですから、世界でも通用しないわけがない。地元の福岡ならハウス食品の「うまかっちゃん」やマルタイの「屋台ラーメン」とトンコツを愛する風土まであります。北米の勢いで日清食品やマルちゃんあたりが、世界中に攻勢をかけて欲しいものなのですがどうなのでしょうか。
(文・写真:周藤卓也@チャリダーマン
自転車世界一周取材中 http://shuutak.com
Twitter @shuutak)
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