取材

外国資本と中国商店が国内経済を破壊するスペイン危機の可能性について考えてみました


こんにちは、自転車世界一周の周藤卓也@チャリダーマンです

財政基盤の脆弱さから、ピッグス(Pigs)と呼ばれた、ポルトガル(Portugal)、アイルランド(Ireland)、ギリシャ(Greece)、スペイン(Spain)の4カ国、欧州信用不安の発端となったギリシア、不動産バブルがはじけたアイルランドはEUとIMF(国際通貨基金)から緊急融資の救済を受けました。ポルトガルも「救済要請間近か」との報道をみかけます。スペインも静観はしてられないでしょう。


ヨーロッパ一番の舗装道路、外国資本による進出と国内産業の脆弱さ、見つけられないスーパーマーケット、中国人による中国製品の氾濫、一ヶ月余り走ってみてスペイン経済に疑問を抱き、まとめてみました。

詳細はこちらから。
綺麗な舗装路。スペインの道路はEUの中心であるフランスやドイツよりも綺麗に舗装されていました。交通量があるのに路肩がないなんてフランスでは普通でしたし、ドイツの道路も若干の荒さがあります。それに比べてスペインは地方道に至るまでしっかりと舗装されていました。


走り易い路肩。


旧道が谷底に、走っているのが新道、右側に高速道路と3本の道が峠を越えます。


道路に限らず公共投資は活発な様です。何に使われるか分からない区画があります。辺りには何もありません。


そして道路とも接続されていません。これだけの公共投資が行われているのに、スペインの財政赤字はGDP比3%以下のユーロ基準を守れているのでしょうか。スペインはユーロ圏に属し、そのユーロは多数の国で採用された共通通貨です。ですから自分勝手に振舞うことはできず、ルールが遵守されます。


スペインでは外国資本が積極的に進出しています。カルフールはフランスの総合スーパーマーケット


リドゥルはドイツのディスカウントストア


ディアはフランスのディスカウントストア


スペインではスーパーマーケットが見つかりません。ドイツならばある程度小さな街なら中心や郊外に必ずありました。フランスならば看板が乱立していて上手く誘導してくれます。他のヨーロッパでもスーパーマーケットが見つからないなんてありませんでした。幹線道路沿いを走っていれば何かしらみつかります。でも、スペインは大変でした。郊外型の店舗は少なく街の中心にコンビニより少し大きな店舗があるくらいです。

スペイン北西部で人口も10万人を超えるリェイダの街に入りました。スーパーマーケットに立ち寄りたかったのに、主要道に沿って中心部を走っていたら何もみつからず通り過ぎてしまって、これにはさすがにびっくりしました。オレンジはフランスの携帯会社。


ボーダフォンはイギリスの携帯会社。


スーパーも携帯会社も国内資本はある様です。ですが、外資系企業との競争で防戦一辺倒と感じました。セアトはスペインの自動車会社。だけれど独立している訳でなく、ドイツ最大の自動車メーカーフォルクスワーゲングループの子会社という位置です。


スペイン国内ではたくさんの外資系企業が活動しています。逆に国外でのスペイン企業の活躍を思い浮かべても、代表的な企業がみつかりません。服飾のZARA位でしょうか。経済危機を起こしたギリシア、アイルランド、ポルトガルと共に強い産業がないという弱点はスペインも同様です。ワインは海外に輸出していました。


裏には日本語の表記があり、日本に輸出されている様です。


そして、大量で安価に作られた中国商品がスペイン経済を侵食します。手前の中国商店の道をはさんだ奥にも中国商店があります。


大型の中国商店。


コンビニみたいな中国商店。


参考までにポルトガルの中国商店も紹介します。


体育館位の大きさです。


ハイパーマーケットならぬハイパーチャイナ。


小さい店舗もあります。この中国商店、小さい店舗は日本の百円ショップみたく、雑貨、食器、文具、小物、工具などが売られています。一方、大きな店舗になると服、靴、鞄など単価の高い商品まで扱われていました。


これが中国商店で売られている雑貨です。デザインはいかにも「中国人が作りました」と自己主張しているようでした。


右側はMADE IN CHINA、左側はFABRICADO EN ASIA、どちらも中国製品だと思うのですが、「アジア」という言い方をする意味はあるのでしょうか。また、「MADE IN PRC」というのもよくみかけました。People's Republic of China(中華人民共和国)の略らしいです。メイドインチャイナを意図的に隠している気がしてなりません。


このメイドインチャイナはヨーロッパではよくみかける光景でした。ただ、ドイツ、フランス、オランダなどは本国の企業が中国で生産して、輸入し、販売をしています。日本も同じ形でしょう。ですが、このスペイン・ポルトガルでは、中国人が中国製品を輸入し中国商店を経営しています。一連の商行為が中国人で完結するのです。日本の百円ショップの数だけ、それぞれ活動する中国人経営者を想像したら、スペイン・ポルトガルの異様な状態が分かるでしょう。安価な中国製品に、スペインの国内品は太刀打ちできない現状です。

スペインを訪れてみてこれまでと違うヨーロッパに戸惑いました。頼りない国内経済はスペイン危機を連想させるには十分です。これからのスペイン経済の先行きから目を離すことはできません。

(文・写真:周藤卓也@チャリダーマン
自転車世界一周取材中 http://shuutak.com)

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in 取材, Posted by darkhorse_log

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