ダイバート(目的地外着陸)するエアチャイナの飛行機に乗り合わせてしまったので一部始終を記録してみた
中国での取材から帰国する際に搭乗したエアチャイナ(中国国際航空)の飛行機がエンジントラブルでダイバート(目的地外着陸)してしまったので、その一部始終を記録してきました。
まずは着陸直後の機内の様子は以下でチェックしてみてください。なお、着陸前はデジタル機器の使用ができないため映像は着陸後のものです。
エアチャイナのダイバート(目的地外着陸)- 着陸直後の機内の様子 - YouTube
で、ここに至るまでの流れは以下の通り。
そもそもの始まりは「北京にメイド喫茶がある」という情報を聞きつけ、取材を行うために現地にやってきたことにあります。
早朝の北京空港に到着。とにかく巨大です。
北京オリンピックに合せて新造されたターミナル3の内部はまだピカピカ。
無料の給水器もあります。
巨大なかめ。
スターバックスだってあります。
外貨を入れると自動で両替してくれる機械。
ATMもあるのでゆうちょや新生銀行など「Plus」と書かれたカードを持っていれば日本の口座から両替後の現地通貨を引き出すことができます。
カードを入れて「Withdrawal」を選択、暗証番号や金額などを入力すればOK。
ラクラク人民元を引き出すことができました。
空港から市街地への移動手段はタクシー、バス、電車など。
市街地へ向かう列車の駅はガラス張りのモダンな建物です。
バスターミナルに降りる長いエスカレーター。
北京駅などの中心だけでなく、天津など中国各地への長距離バスもここから出発します。
とにかく広大な北京の景色。
バスで北京の中心街に来るとこんな感じ。アメリカの都市のような巨大さと、日本の都市のような密度が混在するエネルギッシュな場所です。
そして、今回の目的であったメイドカフェの取材は無事終了。
オタクの日本人留学生が起業して作った北京のメイドカフェに行ってきた - GIGAZINE
翌朝、北京を出発するため空港に戻ってきました。
こんな感じで着陸する飛行機を眺めたりしつつ……。
北京空港に着陸する旅客機 - YouTube
飛行機に乗り込み、無事離陸したのですが……。
北京と大阪間を約3時間ほどで飛ぶ予定のハズが、1時間後くらいに機体が降下を始めていることに気がつきました。その時は「気流の悪い場所を避けているのかな?」という程度に思っていたのですが……。
突如「ガクンッ」と揺れが機内に走り「ゴーッ」という音が機体の下から聞こえてきました。どうやら、着陸に向けて車輪を出したようです。
明らかに予定より早い時間に着陸態勢に入ったことを不審に思い、窓の外に目を向けると茶色い大地が見えました。上空から見ても明らかに、目的地の大阪とは違う景色であることがわかります。
この時点で目的地とは違う場所に着陸する「ダイバート」を行おうとしていることは明らかでしたが、原因が機体のトラブルなのか、ハイジャックなのか、はたまた急病人の発生によるためなのかはわかりません。
最悪の事態を想定すると背筋が「ゾッ」として、周りを見渡すと他の乗客達も落ち着かない様子でキョロキョロとしています。
しばらくすると「エンジントラブルのため、北京空港に引き返して着陸します」という旨の機内放送があり、テロなどではないことがわかってひと安心。
しかし、エンジンの推力が安定しないためか機体が「グラ~ン」と揺れるような感覚が続き、右翼からは「キーン」という異常な音が響いています。どのような状況なのか詳しい説明がないため「墜ちる寸前で空港に向かっている」という緊急事態なのか「念のためひきかえした」というレベルなのかもわからず、滑走路に降りるまでは恐怖の時間が続きます。
そして、無事着陸した後の様子はこの記事の冒頭にもあった以下のムービーの通り。
エアチャイナのダイバート(目的地外着陸)- 着陸直後の機内の様子 - YouTube
その後も10分近くは機内にとどまっていなければならなかったのですが、ようやく空港に戻ることができるというアナウンスが流れると乗客が一斉に出口へと向かいます。
エアチャイナのダイバート(目的地外着陸)- 飛行機を降りる様子 - YouTube
その後は用意されたバスに乗って空港の建物へ移動。
エアチャイナのダイバート(目的地外着陸)- バスでの移動 - YouTube
バスを降りてターミナルに入ります。
エアチャイナのダイバート(目的地外着陸)- 空港に戻るまで - YouTube
入り口で「TRANSIT」と書かれた券がもらえました。再搭乗の際にはこの券ともとのチケットが必要になるようです。
ちょうどお昼時だったので、お弁当の配布があるとのこと。アナウンスの直後に配布場所の前に行列ができていました。
こんな感じで配っています。
白飯におかず4品、お水付き。もちろん無料です。
キャベツ炒め。
キノコの入った炒めもの。
ウリの炒めもの。
セロリの炒めもの。なぜか、炒めものばかりですが、味はなかなか。
そうこうしているうちに、再搭乗の準備が整ったというアナウンスが入りました。
エアチャイナのダイバート(目的地外着陸)- 再搭乗のアナウンス - YouTube
こんな感じで飛行機に乗り込み、今度は無事目的の空港に着陸することができました。
というわけで、旅客機の事故リスクが低いことや、エアチャイナが事故を特別多く起こしているわけではなさそうなのでそれほど心配する必要はなかったのですが、実際にエンジントラブルを起こしてダイバートする機体に乗り合わせてしまうとかなりの恐怖を覚えたのも事実。もし、似たような事態に遭遇した場合は普通の乗客が自分1人の力で事態を改善できる見込みはほとんどないので「飛行機はほとんど落ちないから大丈夫」と自分に言い聞かせて、この記事のことを思い出して「この後はあんな感じの展開になるのかな」といったふうに参考にしてみてください。
なお、「出発地の空港に引き返すのはリターンでは?」という指摘が読者の方からあったので羽田空港(日本空港ビルディング株式会社)に問い合わせたところ「目的地以外に降りる場合は全てダイバートで、出発地に引き返す場合を特にリターンと呼ぶ場合もあります。ダイバートとリターンを厳密に使い分けるかどうかは担当者や状況次第です」とのことでした。また、日本語では「目的地外空港への着陸」「発地への引き返し」などと呼ぶこともあるので、そのようなアナウンスが流れた場合もこの記事のような流れになると考えて良さそうです。
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