食器洗い機がクラウド接続必須なことに怒りを表明した「IoT機器はまずローカル、次にクラウド」というブログが話題に

電子機器やスイッチなどをインターネット経由で操作できるようにするIoTは、アプリを使って離れたところから操作できたり細かい使用データを見ることができたりと便利な点も多くありますが、生活に必須な家電をインターネットに接続することのセキュリティ的な懸念などマイナスな側面も考えられます。IoTに対して不安や苦手意識を持つ人も多く、新しく購入した食器洗い機がインターネット必須のような設計であることに怒りを示した投稿が、数多くの賛同を集めて話題になっています。
I won't connect my dishwasher to your stupid cloud | Jeff Geerling
https://www.jeffgeerling.com/blog/2025/i-wont-connect-my-dishwasher-your-stupid-cloud

プログラマーのジェフ・ゲーリング氏は2025年3月24日に「古い食器洗い機が壊れたため、新しくBOSCHの食器洗い機を購入しました。実際に届いたBOSCHの設定にはWi-Fi接続とアプリが必要で、絶対にやりたくありません」と投稿しました。
..."this setting requires the HomeConnect app"
— Jeff Geerling (@geerlingguy) 2025年3月24日
Oh. Okay, so like Bluetooth or NFC or something?
Nope. They want me to connect my _dishwasher_ to WiFi to configure a number of settings on it! Ugh. No way, no how.
ゲーリング氏によると、配水・給水用のホースや電源コードを含めた設置を終えて、タッチパネルを操作してすすぎ洗いを実行しようとしたところうまくいかず、改めて説明書を見た際に初めてアプリが必要だと気付いたそうです。ゲーリング氏が購入した食器洗い機は、すすぎ、セルフクリーニング、少量の食器を洗うときに使う省エネ機能、タイマー設定などの機能は専用アプリからでしか利用できない仕様になっていました。アプリと食器洗い機の接続はBluetoothやローカルネットワークではなく自宅のWi-Fiを経由する必要があったため、ゲーリング氏は「追加の便利な機能を、インターネット経由で提供するのは理解できます。しかし、従来の食器洗い機では本体のボタンで操作できた機能が、従来のモデルより高価なモデルではアプリが必須になるというのはまったく理解できません」とブログで述べています。
ゲーリング氏は、あらゆる家電をIoT化することに反対する理由として3点を挙げています。まず、アプリにさまざまな機能を任せることで本体には小さなディスプレイとわずかなボタンのみにするという製品設計は、「設計者が怠惰になっている」とゲーリング氏は指摘しました。
また、本体に全ての機能を搭載するのではなくクラウドアプリを提供する企業は、クラウドサービスを維持する必要があり、維持にはコストがかかります。そのため、クラウドサービスがサブスクリプションモデルになる可能性があるほか、顧客データが販売されるような不当な扱いを受ける可能性すらあるとした上で、ゲーリング氏は「本体の操作パーツを減らしてクラウドアプリに機能を委託する設計は、5年~10年で機能停止しやすくする計画的陳腐化であるとすら感じられます」と語っています。

3つ目の問題点として、ローカルネットワークのセキュリティホールが考えられます。Boschはある程度信頼度の高い有名メーカーですが、世の中にはあまり聞いたことのないようなメーカーが出しているIoT家電も数多くあります。そのような家電をインターネットに接続すると、セキュリティホールから悪意のある第三者によって家電が操作される心配が高まります。
ゲーリング氏は「私は食器洗い機を愚かなクラウドに接続しません」と題したブログの中で、「First local, then cloud.(まずローカル、次にクラウド)」という原則をIoTデバイス開発者に向けて提起しました。これは、「クラウドアプリを使って便利に家電を操作できるようにするとしても、同じ操作をアプリなしでも実行できるようにするべき」という主張です。「消費者第一で環境に配慮している人なら、まず私たちにコントロールを与え、その後クラウドサービスを通じて生活の質を向上させる機能を追加するはずです」とゲーリング氏は語りました。
ゲーリング氏の主張はXのリプライおよびソーシャルサイトのHacker Newsで話題を呼びました。ゲーリング氏と同じようにアプリで追加の機能だと聞いて食器洗い機を購入したら設置後にアプリありきだと知って困ったというユーザーや、アプリと連携する電動自転車を購入したところ毎回アプリ起動時に広告を閉じる必要があったり最初に登録したスマートフォンでしか使えないため家族で共有できなくなったりといった問題が発生したユーザーなど、「IoTは必ずしも便利になるものではない」という報告が集まっています。また、BoschのiOS向けアプリはブラウザの検索履歴を読み取っているという指摘など、「IoTによる便利さとプライバシーはトレードオフ」と考える意見も数多く寄せられていました。
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