「違法絶版マンガファイル浄化計画」が4月12日から始動
自分が購入したマンガ雑誌や単行本をスキャンして個人的に楽しむことは問題ありませんが、それを誰かと共有したり不特定多数に配ったりすることはNGです。しかし、実際にはいろいろな経路でこれらのスキャン画像をまとめたZIPファイルが流通しているのも事実。ただ読みたいだけのからすれば何も困りませんが、その作品の作り手には何も還元されず、むしろ創作のモチベーションは落ちるばかり。
これを、絶版マンガ共有システムの「Jコミ」が何とかすべく立ち上がりました。Jコミは4月12日の昼から正式サービスを開始しますが、これに合わせて「違法絶版マンガファイル浄化計画」をスタートさせるそうです。
物々しい名前のこの計画の全貌は以下から。
Jコミ
http://www.j-comi.jp/
(18) 違法絶版マンガファイル浄化計画 - (株)Jコミの中の人
Jコミは「魔法先生ネギま!」「ラブひな」などの作品で知られる漫画家の赤松健さんが設立した、絶版マンガ共有システム。コミックビューアーやPDFによって漫画内に広告を表示し、それによって得られる広告収入はすべて作家に還元されるという画期的なシステムです。
赤松さん自身が非常に好きだったという「マッハSOS」(秋田書店「冒険王」連載)をネットオークションで集めたときに「オークションで買っても、桜多吾作先生には、1円も入らないんですよね」と気付き、また、ネットに流れる違法漫画ファイル(違法ZIPファイル)を止めるというのはかなり難しいであろうという現実を把握した上で、「それならスキャンした漫画ファイルを許諾を得て公開し、漫画の中に入れた広告によって得られた広告料を作者に渡そう」という発想でJコミは作られました。
最初は赤松さんが自身の作品である「ラブひな」でテストを行ったところなかなか好調だったため、いよいよ4月12日から正式にサービスがスタートすることになりました。
これと平行してスタートするのが「違法絶版マンガファイル浄化計画」です。上記の通り、インターネット上やP2Pネットワーク上には違法ZIPファイルがごろごろと転がっていますが、このファイルがダウンロードされて漫画が読まれたからといって作者には一銭も入りません。現在刊行中の雑誌などであれば出版社がパトロールを行っていたりするのですが、絶版の漫画や同人誌は権利を守ろうとする側が誰もいないという状況です。
そこで、Jコミではネット住民の力を借りて、絶版漫画の違法ZIPファイルを回収・浄化する計画をスタートさせるそうです。
赤松さんによると、そのやり方は以下のような感じ。
1. まず、もし「違法な絶版マンガファイル」を持っている方や、WinnyやShareなどP2P上に存在するソレを知っている方がいましたら、Jコミに現物を提出(アップロード)して頂きたいのです。
2. それらのファイルは、すぐには公表されません。Jコミが作者と連絡を取り、許可を得て「浄化」してから公表します。これをもって「贖罪」とします。
3. もし、そのファイルが絶版マンガではなかったら、誰にもどこにも公表されないまま、消去されます。
4. 絶版か新作か迷った場合は、Jコミと作者が判断します。
5. 作者のOKが得られ次第、そのマンガの全ページに自動的に広告を付けて公表し、作者の皆様に広告収入をお渡しできます。もちろんJコミの取り分は0%です。
6. もし作者のOKが得られなかったら、そのファイルは見捨てられ、そのまま地獄(Winny)を漂い続けるのです。恐らく永遠に・・・・。
この計画の最終目標は「ネット上に流れる全ての「違法な絶版マンガファイル」を、「広告入りの正規版(作者がOKしたもの)」と入れ替えること!」だそうです。
計画がうまくいけば、違法ファイルが合法ファイルとなり、しかもその漫画の作者が収入を得られてみんなが嬉しい……となるはず。なかなか難しい試みかもしれませんが、一度流出したファイルが永遠に漂い続けるP2Pに対抗するには、新しく合法ファイルを大量に導入するのが一番かもしれません。明日からのJコミの戦いに注目です。
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