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BOOKSCANが蔵書電子化のルールを策定・普及を目指して業界団体を設立

By Richard Masoner / Cyclelicious

書籍を電子書籍(PDF)化するサービス「BOOKSCAN」を提供している株式会社ブックスキャンが、利用者が安心して蔵書を電子化できる環境作りを目指すために「日本蔵書電子化事業者協会(仮称)」の設立準備会を発足しました。

日本蔵書電子化事業者協会
http://www.jabda.or.jp/



手元にある書籍をPDFなどの電子化したデータに変換することを「自炊」と呼びます。書籍をその形のままで大量に所有するためには広いスペースや巨大な本棚などが必要になりますが、PDFファイルであれば何らかのストレージさえ用意すればいくらでも保存しておけるということで自炊を行う人は前からいましたが、2010年ごろから裁断機とスキャナを用いての自炊や、本のページを切断・裁断せずに行う「非破壊自炊」などが広く知られるようになりました。

この流れの中で、人から書籍を送ってもらって電子化して返す蔵書電子化サービス(自炊代行サービス)が誕生。しかし、多くのユーザーが自炊代行を利用するようになると、著作権法の「複製権侵害」に該当するのではないかと著作権者が指摘。2011年9月に作家122人と出版社7社が、自らの作品のスキャンを許諾しないと自炊代行業者に通知する事態になりました。その上で、なお悪質だとみられた2社に対しては提訴が行われ、最終的に2社ともサービスを停止しています。

書籍スキャン事業者への提訴のご報告
(PDFファイル)http://www.shueisha.co.jp/info/release111220.pdf

被告各社は、不特定多数の利用者から注文を受け、不特定多数の書籍をスキャンして電子ファイルを作成し、利用者に納品する事業を行っているものです。
このような行為をその書籍の著作権者の許諾なく行うことは、著作権法21条の複製権侵害です。
本年9月、原告らは、スキャン事業者に宛て、自己の作品の書籍をスキャンして電子ファイルを作成することを許諾しない旨を明確に伝えるとともに質問書を送りましたが、被告各社は、「今後も引き続き、原告らの作品について注文があった場合は、スキャン及び電子ファイル化を行う」旨を回答しております。
従って、被告各社は、今後も、原告らの著作権を侵害するおそれがあるので、著作権法112条1項に基づいて、その差止めの請求をしたものです。
(なお、ユーザー自身が個人的な目的で書籍をスキャンする、いわゆる「自炊」は、著作権法上の「私的複製」として認められていますが(著作権法30条1項)、業者が(まして大規模に)ユーザーの発注を募ってスキャンをおこなう事業は私的複製には到底該当せず、複製権の侵害となります。)


「自炊代行」を名乗りつつ、書籍を受け取ることなくデータ販売をした業者が逮捕された事例も出ています。

漫画「銀魂」複製データ販売、自炊代行業者逮捕 : ニュース : ネット&デジタル : YOMIURI ONLINE(読売新聞)

顧客から預かった書籍をスキャナーで読み取って電子書籍化する、いわゆる「自炊」の代行業者だが、顧客から漫画を受け取らずに、所有していた電子データを販売したとみられる。


こうした状況を踏まえて、利用者が安心・信頼でき、また著者や出版社の利益を損なわないように配慮した蔵書の電子化サービスを提供するための環境を整備することが急務だとして、ブックスキャンが「日本蔵書電子化事業者協会(JABDA)」の設立準備会を発足したというわけです。

JABDAでは蔵書電子化についての業界ルール策定と普及・推進、利用者の啓発運動を行っていくことを目的としており、2013年3月に設立されたMyブック変換協議会や著者・出版社・学識経験者の方々との協議を進めつつ、電子化をはじめとする蔵書の電子化を通じた社会・文化への貢献と、著者・出版社への還元を行うためのルール・環境づくりに取り組んでいくとのこと。

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in メモ, Posted by logc_nt

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