ファストフードのメニューに「環境への影響度合い」を表示すると消費者が環境に良いメニューを選ぶようになる可能性

ファストフードの注文をする際に、「どのメニューが環境にいいのだろうか」と考える人はかなりの少数派なはず。ところが、1万人以上を対象にした新たな実験では、メニューに「環境への影響度合い」を表示すると、消費者の選択に変化が生じる可能性があると示されました。
Environmental Menu Labels and Food Selection Among US Adults: A Randomized Clinical Trial | Public Health | JAMA Network Open | JAMA Network
https://jamanetwork.com/journals/jamanetworkopen/fullarticle/2850601
A Tiny Label on a Fast-Food Menu Changed What 10,000 People Ordered : ScienceAlert
https://www.sciencealert.com/a-tiny-label-on-a-fast-food-menu-changed-what-10000-people-ordered
「もっと日常生活で環境にいい選択をした方がいい」と頭では理解しているものの、実際に行動に移すことができていないという人は多いはず。特に環境への負荷は選択による結果が見えにくく、判断するのが難しいことが多々あります。
そこでアメリカのカリフォルニア大学などの研究チームは、ファストフードの模擬メニューに「気候への影響度合い」を表示することが、人々の選択を変えるのかどうかを調べる実験を行いました。
実験はオンラインで実施され、性別・人種・民族・年齢・学歴がアメリカ人口を代表するようにサンプリングされた1万人以上の成人に、ファストフードの模擬メニューからメインの1品を注文するように指示しました。模擬メニューはアメリカの人気ファストフードチェーンをモデルにしており、ビーフバーガー・チキンバーガー・フィッシュバーガー・植物由来肉バーガー・サラダなどの16品が用意されていたとのこと。
研究チームはメニューの横に表示する6種類の異なるラベルを作成し、被験者を6つのグループにランダムに割り当てて、各グループに異なるラベルを提示しました。ラベルの種類は「QRコードのみを表示する(対照群)」「環境へのコストを金銭換算して表示する」

「気候への影響をアルファベットと色のグレードで表示する」「気候への影響を示すグレードに加え、そのグレードがどこに位置するのかを表示する」

「温室効果ガス排出量の大きいメニューに『気候への影響が大きい』というラベルを付ける」「温室効果ガス排出量の大きいメニューに『警告:気候への影響が大きい』というラベルを付ける」の6種類でした。

被験者のうち気候変動への悪影響が大きいメニューを選択した割合を分析した結果、QRコードのみを表示した対照群では53%でした。これが、気候変動に関する情報が何もなかった場合の基準値となります。
他のラベルを見たグループでは、「気候への影響をアルファベットと色のグレードで表示する」が48%、「気候への影響を示すグレードに加え、そのグレードがどこに位置するのかを表示する」が46%、「温室効果ガス排出量の大きいメニューに『気候への影響が大きい』というラベルを付ける」が45%、「温室効果ガス排出量の大きいメニューに『警告:気候への影響が大きい』というラベルを付ける」が47%でした。
つまり、被験者が「どのメニューが気候への悪影響が大きいのか」を知っていた場合、比較的小さいながらも、より環境に良いメニューを選ぶ可能性が高まったというわけです。また、「環境へのコストを金銭換算して表示する」でも環境に悪いメニューを選ぶ確率は49%に低下しましたが、この差は有意ではなかったとのこと。
中でも環境に優しいメニューを選ぶ人の割合が増加したのは、「気候への影響を示すグレードに加え、そのグレードがどこに位置するのかを表示する」グループと、「温室効果ガス排出量の大きいメニューに『気候への影響が大きい』というラベルを付ける」グループでした。なお、カロリー・飽和脂肪酸・ナトリウム・糖分・果物・野菜・ナッツ類・食物繊維などを含む栄養スコアについては、グループ間に有意な差はみられませんでした。
最も効果的なラベルは読みやすく、消費者にとって理解しやすいものでした。また、アンケートで気候変動への強い懸念を表明していた被験者ほど、ラベルの表示によって環境に悪いメニューを避ける傾向が強かったと報告されています。

今回の実験は実際のファストフード店で行われたものではなく、オンラインで架空のメニューを見て実施されたものです。そのため、実験で効果が確認されたラベルが現実世界でも同様の効果を示すのかは不明です。
それでも、ラベルに気候への影響度合いを記すなどの小さな取り組みが、結果的に大きな影響をもたらす可能性があります。科学系メディアのScienceAlertは、「最近の全国データによるとアメリカでは成人の約3分の1が毎日ファストフードを食べているため、こうした小さな表示変更だけでも、気候への悪影響が大きい食事を毎日数百万食も避けることにつながる可能性があります」と述べました。
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in サイエンス, 食, Posted by log1h_ik
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