OpenAIが「DeepSeekは蒸留で次世代AIを訓練しアメリカの主要AIに『ただ乗り』している」と議員へのメモの中で非難

あるAIが別のAIの出力をトレーニングに利用することで、AIのトレーニングにかかる計算コストを削減する技術が「蒸留」です。そんな蒸留を駆使してAIを開発しているとして、OpenAIがDeepSeekを非難しています。
OpenAI Accuses China's DeepSeek of Distilling US AI Models to Gain an Edge - Bloomberg
https://www.bloomberg.com/news/articles/2026-02-12/openai-accuses-deepseek-of-distilling-us-models-to-gain-an-edge
OpenAIが2026年2月12日(木)に下院中国問題特別委員会に送付した覚書の中で、「DeepSeekはチャットボットのR1を開発するために、アメリカの主要AIモデルから結果を抽出するという、不公平かつ洗練された手法を使用している」と警告していたことが、Bloombergの報道により明らかになりました。
この覚書では、「OpenAIや他のアメリカの先端研究機関が開発した能力にただ乗りする継続的な取り組み」の一環として、いわゆる蒸留技術をDeepSeekが利用していたことが指摘されています。また、OpenAIは「AIモデルの出力を悪用することを防ぐ防御策」を作成していましたが、DeepSeekはこれを回避するべく「新たな難読化手法」を設計していたとのことです。
OpenAIは2025年1月にDeepSeekがR1を発表してから、同社が蒸留を用いてAIを開発していることに対して懸念を表明してきました。2025年1月には経済紙のFinancial Timesに対し、DeepSeekがOpenAIのAIを「蒸留」している証拠を発見したと明かしています。OpenAIは利用規約で「ユーザーがOpenAIのサービスを『コピー』したり、『OpenAIと競合するモデルを開発するために出力を使用』することはできない」と明記しており、DeepSeekは独自のAIモデルを構築するためにOpenAIのデータを「蒸留」したのであれば、利用規約違反に当たると非難しました。
DeepSeekがOpenAIのデータを「蒸留」してAIを開発していた可能性が浮上、OpenAIは「証拠がある」と発言 - GIGAZINE

覚書の中で、OpenAIは利用規約に違反するユーザーを取り締まる試みを行なっているにもかかわらず、主に中国、時にはロシアと結びついた蒸留行為は継続しており、より巧妙化していると報告しました。
OpenAIの内部調査によると、DeepSeekの従業員に関連するアカウントが、サードパーティー製のルーターを介してOpenAIのAIモデルにアクセスし、ソースを隠蔽することで既存のガードレールを回避しようとしていた模様。
DeepSeekをはじめとする多くの中国製AIは、無料で提供されています。そのため、蒸留を用いて開発されたAIがまん延すれば、AIインフラに数千億円もの投資を行い、プレミアムサービスを有料で提供しているOpenAIやAnthropicといったアメリカ企業にとって、ビジネス上の脅威となる可能性があるとBloombergは指摘しました。
また、AIが蒸留によってコピーされると、安全対策がしばしば無視され、生物学や化学といった高リスク分野でのAIの悪用が拡大する可能性があると警告しています。
他にも、OpenAIはDeepSeekのチャットボットが台湾や天安門事件など、中国政府が物議を醸すとみなすトピックに関する結果を検閲していることを指摘しました。

下院中国問題特別委員会の委員長であるジョン・ムーレナール下院議員は、「これは中国共産党の戦略の一部です。盗み、コピーし、そして殺すのです。中国企業はOpenAIから盗用してDeepSeekを構築した時と同じように、アメリカのAIモデルを自らの利益のために抽出し、利用し続けるでしょう」とDeepSeekを非難しました。
ホワイトハウスのAI担当責任者であるデビッド・サックス氏は、中国の蒸留戦略について警告しており、2025年にはFox Newsに対して「DeepSeekは古いチップからより多くの電力を絞り出しています」「DeepSeekが行ったのはOpenAIのAIモデルから知識を蒸留することだったという確かな証拠があります」などと発言しています。
R1のリリース以降、アメリカおよび中国のAI企業は続々と新しいAIモデルをリリースしているにもかかわらず、DeepSeekはマイナーアップグレードを発表するのみです。Bloombergは、DeepSeekが競合他社に対抗するエージェントベースのAIモデルを開発していると報じていますが、記事作成時点ではそのようなAIモデルはリリースされないままです。
なお、Googleによると蒸留を駆使しているのはAI企業だけでなくサイバー攻撃者も同様で、蒸留を用いた攻撃が急増していることが指摘されています。
Googleが「Geminiの能力を抽出して競合AIを開発しようとする蒸留攻撃が増加している」と報告 - GIGAZINE

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in AI, Posted by logu_ii
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