ハードウェア

月を利用して世界中と通信できるオープンソースなフェーズドアレイアンテナ「open.space」


アマチュア無線の醍醐味の一つが「世界のどこかにいる見知らぬ人と交信する」ことであり、なるべく遠くまで電波を届ける遠距離無線通信(DX)はアマチュア無線家の一大目標といえます。DXを行うためには「より高出力の電波を飛ばす」「より高いアンテナを使用する」「短波帯を反射する電離層を利用する」「人工衛星を利用する」など様々な手法が採られますが、その一つに「月面反射通信(Earth-Moon-Earth・EME)」があります。月面における電波の反射係数は非常に低いためEMEは実用的ではないとされていましたが、まさにEMEを目的としたオープンソースのフェーズドアレイアンテナ「open.space」が登場しました。

Open Source meets Outer Space
https://open.space/

フェーズドアレイアンテナについて簡単に説明すると、小型のアンテナ素子を平面上に多数配置して一つのアンテナとして制御することで電波の指向性を強化するなど通信の効率を向上させるものです。月面で反射する電波は非常に微弱ですが、フェーズドアレイアンテナを活用することで効率的に信号を送受信できるというわけです。


Quadは「open.space」のフェーズドアレイアンテナのうち最も小さなモデルであり、単独でも使用は可能ではあるもののより大きなアレイを形成するための構成要素としての側面を持っています。Quadは4つのアンテナ素子から成るソフトウェア通信(SDR)タイルであり、Raspberry Piのパイプライン(GNU Radio・Python/C++・SoapySDR)と互換性を有しています。価格は記事作成時点で未定ながら、49~99ドル(約7650~1万5450円)とされています。


Miniはスターターに位置付けられているフェーズドアレイアンテナです。72個のアンテナ素子を配置しておりこれだけでも強力な指向性を発揮しますが、さらに拡張していくことも可能です。価格は記事作成時点で899~1499ドル(約14万~23万円)。


Moonは本気でEMEを目指すモデルです。アンテナ素子はなんと240を有しており、月面反射に必要なビームフォーミングゲインと実効輻射電力(EIRP)を提供可能であるとのこと。価格は記事作成時点で2499~4999ドル(約39万~78万円)。


EMEは完全に趣味の領域であり実用性を考慮するとなかなか手を出しにくいものではありますが、少年の心と大人の財力を兼ね備えた人は浪漫を追い求めて購入を検討してみてもいいかも知れません。

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in ハードウェア, Posted by log1c_sh

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