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OpenAIがDeepSeekを「中国共産党の管理下にある」として中国製AI技術への制限を主張

by TechCrunch

OpenAIがアメリカ科学技術政策局(OSTP)に2025年3月13日付けで提出した政策提案書の中で、中国企業のDeepSeekが開発するAIについて「中国共産党が主導する国家の管理下にある」と表現し、国家管理されたAIとしての性質、プライバシーとセキュリティのリスク、そして知的財産権侵害への姿勢という観点から批判しています。

OpenAI’s proposals for the U.S. AI Action Plan | OpenAI
https://openai.com/global-affairs/openai-proposals-for-the-us-ai-action-plan/

[OpenAI Response] OSTP/NSF RFI: Notice Request for Information on the Development of an Artificial Intelligence (AI) Action Plan - Google Docs
(PDFファイル)https://cdn.openai.com/global-affairs/ostp-rfi/ec680b75-d539-4653-b297-8bcf6e5f7686/openai-response-ostp-nsf-rfi-notice-request-for-information-on-the-development-of-an-artificial-intelligence-ai-action-plan.pdf

OpenAI calls DeepSeek 'state-controlled,' calls for bans on 'PRC-produced' models | TechCrunch
https://techcrunch.com/2025/03/13/openai-calls-deepseek-state-controlled-calls-for-bans-on-prc-produced-models/

OpenAIは制作提案書の中で、「インテリジェンスの時代が到来しつつある」と述べ、AIの発展とアメリカの主導的立場を維持するための戦略的提案を行いました。


OpenAIの提案は主に以下の5つの分野に焦点を当てています。

1:革新の自由を確保する規制戦略
OpenAIは連邦政府と民間企業の間に自主的なパートナーシップの枠組みを作ることを提案しました。これにより、各州で780件以上も乱立するAI関連法案による規制の断片化を防ぎ、イノベーションを阻害せず、アメリカの技術的リーダーシップを維持できるとしています。また、商務省と連携して、大手AI企業もスタートアップも同じ「窓口」を通じて政府とやり取りできるようにし、参加企業には州法からの免除などのインセンティブを提供するべきだと述べています。

2:民主的AIを輸出する輸出管理戦略
世界の国々を3つの階層(Tier)に分け、AIの普及を戦略的に管理することをOpenAIは提案しています。OpenAIは、「Tier I」を民主的AI原則にコミットする同盟国、「Tier II」を輸出管理対象の技術が中国などに転用されるリスクがある国、「Tier III」を中国共産党主導の中国など、アクセスを禁止すべき国々と定義しています。この提案は単にAI技術の流出を防ぐだけでなく、民主的価値に基づくAIシステムの世界的な普及を積極的に促進することも目指すものとなります。

3:学習の自由を促進する著作権戦略
OpenAIは、アメリカの「フェアユース」原則がAI開発における競争力の源泉だと主張しています。OpenAIのモデルは著作物を複製するのではなく、パターンや言語構造を学習するだけであり、著作権の目的や公正使用の原則に合致していると説明。ヨーロッパで行われているように著作権者がAI開発企業による自分の作品の利用を簡単に拒否できる「オプトアウト」を設けると、AI企業がどの作品をトレーニングに使えるのか事前に予測しにくくなるため、特に小規模な新規参入者にとっては革新が難しくなると警告し、国家安全保障の問題としても著作権へのアクセスを確保すべきだと訴えました。

4:成長を促進するインフラ整備戦略
OpenAIは、AIインフラへの投資を促進し、経済成長とAIへのアクセス拡大、国家安全保障を確保するべきだと提案しました。OpenAIは「A National Transmission Highway Act」という法案を提案しており、送電・光ファイバー・天然ガスパイプラインの拡大、政府データのデジタル化、同盟国とのAI協定の創設、許認可プロセスを迅速化する「AI経済特区」の設立、AI対応の労働力育成を訴えています。これらの政策によって、国内での再工業化を促進し、何十万もの雇用創出、地域経済の活性化、エネルギーグリッドの近代化を実現できると述べました。

5:連邦政府によるAI採用戦略
OpenAIは、連邦政府機関でのAI採用率が「容認できないほど低い」とし、公務員、特に国家安全保障部門の職員がAI技術の恩恵を受けられていないと指摘。時代遅れの認証プロセス、制限的なテスト権限、柔軟性に欠ける調達経路など、政府のAI採用を阻む障壁を取り除くべきだとしています。具体的には、クラウドベースアプリケーションのサイバーセキュリティルールの近代化、AIテストと実験の迅速化、迅速な調達メカニズムの実現を提案し、さらに国家安全保障用途のカスタムAIモデル開発のためのパートナーシップ推進も訴えました。

by Mike MacKenzie

そして、この「2:民主的AIを輸出する輸出管理戦略」において、OpenAIは「DeepSeekのR1モデルの最近のリリースが注目に値するのは能力ではなく、この競争の状態を測る指標としてである。R1の推論能力は印象的ではあるものの、複数のアメリカ製モデルとせいぜい同等」と述べています。

by Tim Reckmann

OpenAIは「DeepSeekモデルに重要なインフラや他の高リスクなユースケースを構築することには大きなリスクがある」と警告し、「DeepSeekが中国共産党によって害を引き起こすためにモデルを操作するよう強制される可能性」を指摘しました。

また、OpenAIは「DeepSeekは『中国共産党主導の国家が補助金を出し、管理し、無料で利用できる』特徴を持つため、ユーザーが支払うコストはプライバシーとセキュリティである」と主張し、「DeepSeekは中国の法律の下でユーザーデータの要求に従わなければならず、中国共産党のためにそのデータをより高度なシステムの訓練に利用している」と批判しています。

さらに、「DeepSeekのモデルは不正行為や知的財産の窃盗といった、違法で有害な活動の方法をより進んで生成する。これは中国共産党がアメリカの知的財産権の侵害を欠陥ではなく特徴と見なしていることの反映だ」とOpenAIは論じました。

IT系ニュースサイトのTechCrunchは「OpenAIの『モデル』という表現が、DeepSeekのAPIやオープンモデル、あるいはその両方を指しているのかどうかは不明です。DeepSeekのオープンモデルには、中国政府がユーザーデータを抜き取ることができるような仕組みは含まれていません」と指摘。そして、「DeepSeekが中国に支援され、その指揮下にあるというOpenAIの新たな主張は、中国に対するOpenAIのキャンペーンを激化させるものです」と述べました。

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in ソフトウェア, Posted by log1i_yk

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