SNSや通信会社に「詐欺を積極的に特定すること」を義務づける法案が世界で初めてオーストラリアで採択される

2025年2月13日、オーストラリアで「詐欺防止フレームワーク法案」が採択されました。これは、銀行やSNSの運営者に対し、積極的に詐欺を検知・妨害し、詐欺行為を報告することを義務付けるものです。
ACCC welcomes passage of world-first scams prevention laws | ACCC
https://www.accc.gov.au/media-release/accc-welcomes-passage-of-world-first-scams-prevention-laws

Australia passes world-first scams prevention framework | news.com.au — Australia’s leading news site
https://www.news.com.au/technology/online/hacking/australia-passes-worldfirst-scams-prevention-framework/news-story/b5b0116db0671ea20c34febc46e12e4b
詐欺防止フレームワーク法案は、政府組織のオーストラリア競争・消費者委員会(ACCC)に対し、潜在的な法律違反を調査する権限と、法律に基づく義務を果たすための合理的な措置を講じない企業に対する執行措置の権限を与える法案です。
この法案が採択されたことで、ACCCは通信事業者やSNS企業、銀行等に対し、積極的に詐欺を検知・妨害し、詐欺行為を報告することを義務付けることが可能になります。取り締まりの一環として、SNS企業は広告主の身元を確認することが義務付けられ、銀行は資金の受取人を特定できるようにしておかなければなりません。この枠組みにおける義務を果たさない企業は、最高5000万オーストラリアドル(約48億円)の罰金を科せられる可能性があります。
ACCCやオーストラリア系メディアは、こうした法律が制定されたのは世界初であると伝えています。

ACCCによると、オーストラリア人は詐欺師によって平均で1人当たり100オーストラリアドル(約1万円)を失っており、この被害額はアメリカやイギリスの倍以上に当たるそうです。
詐欺防止フレームワーク法案が採択されたことで、オーストラリアで相次ぐ詐欺被害を未然に減らし、オーストラリア人の経済的利益を守れるようになることが期待されています。
ACCCのカトリオナ・ロウ副委員長は、「金融詐欺はオーストラリアのコミュニティに容認できない脅威をもたらし、数十万人のオーストラリア人に壊滅的な影響を与えました。この法案は詐欺との戦いにおける重要な一歩であり、官民連携によって詐欺への対抗策を開発し、消費者に適切な救済措置を提供するものです」と話しました。
オーストラリア銀行協会は声明で、「オーストラリアはあらゆる角度から詐欺に取り組んでいますが、新しい法案はそもそも人々が詐欺にさらされるのを防ぐことを優先しています。オーストラリアは詐欺防止への包括的なアプローチにおいて先進的です」と伝えました。

歓迎の声が上がる一方で、「対象となる企業が講じなければならない合理的な措置についてさらなる明確さが必要で、指針が与えられない場合、重大な負担となるリスクがある」などの懸念も寄せられています。また、この法案は詐欺被害者を救済するためのものとして採択されたのに、各企業が被害者を補償する際の必須要検討が何も定められていないとの指摘もあります。
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