296種の食品に含まれるプラスチック由来の化学物質を測定した結果「イートインよりテイクアウトの方が化学物質が多い」などの事実が明らかに
食品に含まれるマイクロプラスチックや化学物質などの健康への影響が懸念されていますが、実際にどの食品にどれくらいの物質が含まれているのかはあまり知られていません。GitHub元CEOのナット・フリードマン氏を中心とする研究チームは、ミネラルウォーターやハンバーガーなどの市販の食品を試験所に送付して成分を分析し、その測定結果を公開しました。
Report — PlasticList
https://www.plasticlist.org/report
研究チームは312種類の食品を収集して775個のサンプルを作成し、ISO/IEC 17025の認定を受けた試験所に送付しました。試験所では壊れずに届いた296種類・705個のサンプルを対象にフタル酸エステル類やビスフェノールといったプラスチック産業に関連する内分泌かく乱化学物質(EDC)の含有量が測定されました。
測定の結果、ビスフェノールAを最も多く含んでいたのはBoba Guysという飲料ショップのタピオカミルクティーで、欧州食品安全機関が定める1日の摂取上限の325倍に及ぶビスフェノールAが検出されました。
測定対象の食品をビスフェノールAの含有量順に並べた表が以下。伊藤園の「お~いお茶」にも基準値の31倍以上のビスフェノールAが含まれていたそうです。
ちなみに、サンプルとして使われた「お~いお茶」は海外向けのタイプです。
「市販の牛乳(灰色)」と「農場でサンプル採取した牛乳(黒色)」の化学物質含有量を比較したグラフが以下。左から順に「合計(Total)」「フタル酸エステル類(Phthalates)」「ビスフェノール(Bisphenols)」「フタル酸エステル類代替品(Phthalate Substitutes)」の量を示しています。農場で採取した牛乳の方が化学物質の量が少なく、市販へと形を変える段階で何かが起きている可能性が指摘されています。
「市販の牛肉(灰色)」と「食肉解体施設から直送された肉屋の牛肉(黒色)」を比べるとこんな感じ。フタル酸エステル類代替品(Phthalate Substitutes)の量に大きな差があります。肉屋の牛肉は「茶色い紙」に包まれた状態で研究チームに提供されたとのことで、この紙に原因がある可能性もあるとのこと。
さらに、研究チームは1940年と2024年のギラデリ製ココアパウダーの比較も実施。
結果は以下の通り。化学物質の種類によって昔のココアの方が多いこともあれば、最近のココアの方が多いこともあります。
デリバリー容器の影響を確かめるべく、「まったく同じ料理を2人前注文し、片方はそのままサンプル化、もう片方はテイクアウト容器に45分間入れてからサンプル化」という実験も行いました。
「提供直後にサンプル化(灰色)」と「テイクアウト容器に45分入れてからサンプル化(黒色)」の化学物質含有量を比べた結果が以下。フタル酸エステル類の増加率が15%だったのに対して、フタル酸エステル類代替品は40%という高めの増加率を記録しました。
なお、全サンプルの測定結果は以下のリンク先で確認可能。サンプル名をクリックするとサンプルの見た目も確認できます。
PlasticList
https://www.plasticlist.org/
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