包装容器に使われる化学物質が理由で年間10万人がアメリカで死んでいる

プラスチックを柔かくする働きがあるフタル酸エステルは、食品パッケージ、おもちゃ、ビニールフロア、接着剤、洗剤、潤滑油、ヘアスプレーなど幅広いものに一般的に使われる物質です。しかし、フタル酸エステルは生体にホルモン作用をおこしたり、逆にホルモン作用を阻害する可能性が指摘されており、近年はアメリカやカナダで使用規制の動きが強まっています。そんなフタル酸エステルと、心臓病による死亡の関係が、新たに研究で示されました。
Phthalates and attributable mortality: A population-based longitudinal cohort study and cost analysis - ScienceDirect
https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/S0269749121016031
Chemicals used in packaging may play role in 100,000 US deaths a year – study | US news | The Guardian
https://www.theguardian.com/us-news/2021/oct/14/phthalates-deaths-older-americans-study-chemicals
ニューヨーク大学グロスマン医学部のLeonardo Trasande氏ら研究チームは、2001年から2010年の間に「National Health and Nutrition Examination Survey」という大規模な調査に参加した55歳~64歳までの5300人について分析を行いました。この調査結果には、インタビューによって得られたアンケート回答と共に、尿検査の結果が含まれたとのこと。
分析の結果、尿中のフタル酸エステル濃度が高い人は心臓病で死亡する可能性が高いことが判明したと研究チームは述べています。研究チームは「フタル酸エステルにより、毎年アメリカでは9万1000人から10万7000人もの人が早期死亡している可能性」と「フタル酸エステルにより、毎年400億~470億ドル(約4兆6000億~5兆4000億円)の経済的損失が発生している可能性」を指摘しています。
Trasande氏は、「フタル酸エステルが心臓病と関係していることはこれまでも理解されてきました。また、心臓病が主な死因であることも理解されてきました。しかし、この化学物質そのものが死と関係していることは示されてきませんでした」と述べています。

アメリカでは、3種のフタル酸エステルが玩具への利用が制限されているものの、これらの化粧品やパッケージ素材への利用はあまり制限されていません。日本の場合、玩具や育児用品のほか油脂・脂肪製食品を含有する食品に接触する包装容器への利用が原則として(PDFファイル)禁じられています。
なお、この研究論文は査読済みですが、フタル酸エステル類と早期死亡との生物学的関係は明らかではなく、フタル酸エステルが早期死亡の直接的な原因とまでは証明していない点に注意が必要です。
それを踏まえてもTrasande氏は「フタル酸エステルが我々の社会に与える影響は当初考えられていたよりも大きいことを、今回の研究は示しました。有毒なフタル酸エステルへの暴露を制限することがアメリカ人の身体的・経済的幸福を守ることにつながることは明白です」と述べ、フタル酸エステル規制の必要性を主張しました。
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in サイエンス, Posted by darkhorse_log
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