サイエンス

空気に良いと思われている観葉植物が有害な揮発性有機化合物を放出する場合もある


観葉植物は住宅やオフィスの美観に貢献するだけでなく、光合成により酸素を供給する、シックハウス症候群の原因となる揮発性有機化合物(volatile organic compounds:VOC)を吸着するなど、「空気をきれいにする」効果があると一般に考えられてきました。

しかし、いくつかの観葉植物はVOCを放出し、中には健康に悪影響を与えるものもあるそうです。また、プラスチック製の植木鉢からVOCが放出される場合もあるとのことで、部屋に観葉植物を取り入れようと思っている人は注意した方が良いかもしれません。


詳細は以下から。Indoor Plants Found To Release Volatile Organic Compounds

ジョージア大学園芸学科のStanley J. Kays氏らによる研究では室内用観葉植物として人気の高い4つの植物の放出するVOCを特定し、その放出量を測定しました。アメリカ園芸学会のHortScience誌に発表されたこの研究では、VOCの発生原因と日中と夜間での放出量の違いも記録しました。

対象となった4種の植物はPeace Lily(スパティフィラム属Spathiphyllum wallisii)・Snake Plant(サンセベリア)・Weeping Fig(ベンジャミン)・Areca Palm(アレカヤシ亜科アレカ連のChrysalidocarpus lutescens Wendl)と、すべてNASAにより空気清浄効果が認められた植物のリストにも載っている、人気の高い観葉植物です。

Peace Lily


Snake Plant


Weeping Fig


Areca Palm


4つの植物のサンプルはガラス容器に入れられ、チャコールフィルター付きの吸気口から浄化された空気が供給され、排気口からVOCの測定装置へと排気されました。対照用として植物の入っていないガラス容器でも同様に測定されました。

その結果、Peace Lilyでは23種、Areca Palmでは16種、Weeping Figでは13種、Snake Plantでは12種のVOCが検出されました。VOCの一部は生産段階で使われる殺虫剤の成分だったそうです。それ以外には土の中の微生物が排出するVOCのほか、植木鉢のプラスチックに由来するVOCが11種確認されたそうです。これらのVOCのうちいくつかは動物の健康へ悪影響を及ぼすことがわかっているものだったとのことです。

また、すべての植物でVOCの放出量は夜間より日中の方が多かったとのことで、これはVOCの合成に光がかかわるためと考えられています。

「いくつかのVOCを除去する観葉植物の効果が知られていますが、その一方で観葉植物は多様なVOCを排出もし、その中には生理活性物質として知られるものもあります。これらのVOCが空気中に存在し続ける期間は十分に調査されたことがなく、人間への影響はまだわかっていません」と研究では結論づけています。

というわけで、どうやら植物そのものが悪いのではなく、残存農薬やプラスチックの植木鉢が主な原因のようです。土中の微生物は空気中の有害物質を除去するのにも重要な働きをするのですが、吸着した物質の一部はそのまま放出されたり、消化されて別の物質として放出されるということのようです。

空気をきれいにする効果と有害物質の放出が相殺されるかどうか、一概には言えないのですが、部屋に観葉植物を取り入れようと考えている人は、プラスチックの植木鉢は避けてみて損はないかもしれません。

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in サイエンス, Posted by darkhorse_log

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