たまにお菓子を食べることが「心臓の健康」にいい可能性があるとの研究結果、ただし甘いソフトドリンクはNG
by yoppy
砂糖の過剰摂取が体に悪いことは知っていても、自分へのご褒美のスイーツはやめられないという人は多いはず。そんな甘党には朗報なことに、お菓子を週に1~2回ほど食べる人は心血管疾患リスクが低い可能性があるということが、スウェーデンでの研究で判明しました。
Frontiers | Added sugar intake and its associations with incidence of seven different cardiovascular diseases in 69,705 Swedish men and women
https://www.frontiersin.org/journals/public-health/articles/10.3389/fpubh.2024.1452085/full
Sugary drinks significantly raise cardiovascular disease risk, but occasional sweet treats don’t, scientists find
https://www.frontiersin.org/news/2024/12/09/sugary-drinks-raise-cardiovascular-disease-risk-frontiers-public-health
過去の研究で、「砂糖入りの清涼飲料水を定期的に飲むと心血管疾患のリスクが高まる」ということが判明するなど、砂糖は全身の血管をむしばむことが知られています。
砂糖入りの清涼飲料水を週2回飲むと運動をしていても心血管疾患のリスクは高まる - GIGAZINE
しかし、一口に「砂糖」と言っても砂糖入りの清涼飲料水なのか、おやつのお菓子なのか、料理の味付けなのかで消費パターンや総合的な摂取カロリーは異なります。また同様に、心血管疾患も脳卒中や心不全など、さまざまな病気を包含した概念です。
砂糖の取り方の違いが健康にどう影響するのかを詳しく理解するため、スウェーデンのルンド大学と、デンマークのコペンハーゲン大学の研究チームは、スウェーデンの公衆衛生データベースに登録されている45歳~83歳の男女6万9705人の記録を分析しました。
研究チームはまず、1997年と2009年のアンケートでわかった参加者らの砂糖の摂取状況を、炭酸飲料などの「甘い飲み物」、アイスクリームやチョコレートなどの「甘いお菓子」、蜂蜜やジャムなどの「トッピング」の3つに分類しました。
そして、2019年12月31日までに参加者が診断された7種類の心血管疾患、つまり虚血性脳卒中・出血性脳卒中・心筋梗塞・心不全・心房細動・腹部大動脈瘤(りゅう)・大動脈弁狭窄(きょうさく)症との関連性を調べました。
その結果、3種類の砂糖の摂取方法のうちドリンクが最も健康に悪く、甘い飲み物を週8回以上摂取する人は虚血性脳卒中のリスクが19%、心不全のリスクが18%、心房細動のリスクが11%、腹部大動脈瘤のリスクが31%増大することがわかりました。
甘い飲み物が心臓の不調を招く理由について、論文の責任著者であるルンド大学のスザンヌ・ジャンジ氏は「甘い飲み物に含まれる液糖は、固形のものより満腹感が少ないので、過剰摂取につながる可能性があります。状況も重要で、お菓子は社交の場や特別な機会に食べられるものなの対し、甘い飲み物は日常的に消費されがちです」と述べました。
砂糖の取り方の影響は心血管疾患の種類によって異なり、例えばトッピングとしての使用は腹部大動脈瘤のリスク増加と関連性がある一方で、興味深いことに心不全や大動脈弁狭窄症のリスクとは負の関係を示しました。
さらに、お菓子はすべての心血管疾患と負の関係があった一方、最も疾病リスクが高かったのはおやつを週2回以下しか食べない人だったとのことです。
この研究はスウェーデン人を対象としたものなので、スウェーデンの食生活やライフスタイルが結果を大きく左右します。例えば、スウェーデンには「フィーカ」という社会的な習慣があり、家族や職場の同僚などで集まって、コーヒーとペストリーなどの甘いお菓子をよく食べます。
過去の別の研究では、コーヒーが心不全のリスクを下げることが判明しており、心臓の健康にいいのは砂糖ではなくお菓子と一緒にスウェーデン人がよく飲んでいるコーヒーだという可能性があります。
コーヒーを飲むと「心不全のリスクが下がる」という研究結果 - GIGAZINE
また、この研究では「砂糖の摂取がどのように心血管疾患リスクに影響したか」というメカニズムまではわからないため、心臓病と診断された人がお菓子を食べるのを控えたことが結果に影響しているケースも考えられます。
こうした点を踏まえた上で、ジャンジ氏は「私たちの観察研究では因果関係の証明はできませんが、今回の研究結果は、砂糖の摂取量が著しく少ないことが心臓や血管の健康に有益ではない可能性や、極端に砂糖を控える必要はない可能性を示唆しています」と話しました。
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