「ヘルシング」が初のAI攻撃ドローンを発表、データ接続なしで最大100km飛行し標的を再識別して攻撃可能
イギリスに拠点を構える防衛ベンチャーのHelsing(ヘルシング)が2024年12月2日に、大量生産と群れ(スウォーム)での運用を想定して開発された攻撃ドローン「HX-2」を発表しました。同社は「民主主義国家の安全強化」を使命として掲げており、既にHX-2のコア技術の生産とウクライナへの配備が進んでいるとしています。
HX-2 – AI Strike Drone – Helsing
https://helsing.ai/hx-2
Helsing unveils intelligent strike drone for mass and precision – Helsing
https://helsing.ai/newsroom/helsing-unveils-intelligent-strike-drone-for-mass-and-precision
Helsing unveils AI-enabled HX-2 drone
https://ukdefencejournal.org.uk/helsing-unveils-ai-enabled-hx-2-drone/
Helsing「HX-2」 - YouTube
HX-2は重さ12kg、最大時速220kmの電気推進式Xウイング型ドローンで、高度な搭載AIにより電子戦(EW)や妨害技術への耐性が高い点に特徴があるとのこと。
ロシアによる侵攻が続くウクライナでは、ドローンが大きな存在感を示していますが、ロシア軍の電磁妨害によりGPS通信やドローンとオペレーター間の通信が妨害される問題に直面しています。
一方、HX-2は信号や継続的なデータ接続がなくても標的の捜索や再識別が可能なソフトウェアを搭載しており、最大100kmの見通し外距離(beyond-line-of-sight range)に位置する装甲車などの軍事目標と交戦することが可能です。
ただし、HX-2は自律制御ではなく、重要な決定にはすべて人間のオペレーターが関与します。
HX-2のもう1つの特徴が、1人のオペレーターによって制御される複数のHX-2が群れをなして編隊を組むことができるスウォーム能力(swarm-capable)で、大量生産を念頭に従来のドローンシステムより大幅に単価が抑えられています。
Helsingの共同創設者であるニクラス・ケーラー氏は「私たちは、HX-2により数量、自律性、精度を兼ね備えた新しい『スマートエフェクター』というカテゴリーを創造します。個々のHX-2は、激しい戦闘環境でも装甲目標に確実に対処することができ、国境沿いに大規模配備されたHX-2は敵の陸上部隊に対する強力な対侵攻シールドの役割を果たすことができるでしょう」と述べました。
今回のHX-2の発表は、イギリス国防省の防衛産業戦略発表イベントに合わせて行われたもので、Helsingは5年間で3億5000万ポンド(約663億円)をイギリスに投資する計画の一環として、イギリスに製造拠点を設置することを明らかにしています。
イベントに出席したイギリスのジョン・ヒーリー国防大臣は、「ウクライナ紛争は、国の軍隊の強さはそれを支える産業とイノベーションの力に左右されることを証明しました。Helsingが我が国に工場を設置し、低コストかつ高性能なAI対応システムを大量生産するという先進的な取り組みを行っているのは素晴らしいことです。このような民間部門の投資は、新たな雇用を支え、経済成長を促し、防衛産業戦略の中核となる技術的優位性と産業の回復力を高めるでしょう」と話しました。
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