「一握りのナッツ」を毎日食べている人は認知症のリスクが低いとの研究結果
認知症の原因やメカニズムは完全には解明されていませんが、過去の研究では西洋型の食事がアルツハイマー病のリスクになる一方で、地中海食がリスクを下げることが突き止められるなど、認知症の危険性は食事と密接に関わっていることがわかってきています。新しい研究により、地中海食の食材としてもよく使われるナッツ類を習慣的に食べている人は認知症のリスクが低いことが判明しました。
Nut consumption is associated with a lower risk of all-cause dementia in adults: a community-based cohort study from the UK Biobank | GeroScience
https://link.springer.com/article/10.1007/s11357-024-01365-z
Eating Nuts Linked to Lower Risk of Dementia, Study Finds : ScienceAlert
https://www.sciencealert.com/eating-nuts-linked-to-lower-risk-of-dementia-study-finds
Eating a handful of nuts a day could lower risk of developing dementia, study finds | Daily Mail Online
https://www.dailymail.co.uk/health/article-13953703/handful-nuts-lower-risk-developing-dementia-study.html
Can a handful of nuts a day keep dementia away? Research suggests it might
https://www.psypost.org/can-a-handful-of-nuts-a-day-keep-dementia-away-research-suggests-it-might/
スペインのカスティーリャ=ラ・マンチャ大学と、ポルトガルのポルト大学公衆衛生研究所の研究チームは、イギリスで行われている大規模調査であるUKバイオバンクの参加者の食生活と認知症の発生率を調査しました。
分析対象となった参加者5万386人の平均年齢は56.5歳で、参加者の49.3%が女性でした。また、平均7.1年の追跡期間中における参加者らの全原因認知症、つまりアルツハイマー型認知症を含むあらゆるタイプの認知症の発生件数は1422件、割合にして2.8%でした。
この研究の結果、ナッツを食べない人に比べてナッツを毎日「0~3つかみ(30g前後)」以上食べていると回答した人は、認知症になるリスクが12%低いことがわかりました。年齢や性別、BMI値、学歴、生活習慣などの要素を調整しても、この結果は顕著でした。
また、参加者をグループ分けする層別解析による詳細な分析では、「1日当たり30gまでのナッツの摂取」と「無塩ナッツの摂取」という2つの要素が最大の予防効果と関連していることも判明しました。
つまり、ナッツの認知症予防効果を最大化するには、味付けが控えめなナッツ類を手のひらに軽く収まる程度の適量食べるのがよさそうだということです。なお、ナッツの殻や皮がついているかどうかや、ローストされているかなどは結果に影響しませんでした。
注意点は、この効果は肥満ではなく、睡眠時間が正常で、タバコは吸わず、アルコールを毎日飲んでいない人に見られたということです。1日に缶ビール半分ほどのアルコールしか摂取しなくても脳が萎縮してしまうといった研究結果があることを踏まえると、晩酌のおつまみにナッツを選んでも認知症の予防効果は限定的かもしれません。
1日缶ビール半分のアルコールでも脳は萎縮することが判明、飲めば飲むほど指数関数的に悪化 - GIGAZINE
研究者らは論文に、「観察研究および臨床試験の両方を含む今後の長期追跡調査で、成人の認知症予防戦略としてのナッツ摂取の有効性を評価する必要があるでしょう」と記しました。
この研究は観察研究であるため、「ナッツを食べたから認知症が予防された」というような因果関係までは証明されていませんが、抗炎症作用や抗酸化作用のある栄養素が豊富なナッツと脳の健康に関する研究結果は他にも報告されています。
例えば、2023年に発表された研究では、平均年齢65歳の健康な被験者28人に、16週間にわたってクルミ、ピスタチオ、カシューナッツ、ヘーゼルナッツを含む無塩のミックスナッツを1日60g摂取してもらい、ナッツを一切摂取しなかったケースと比較しました。その結果、ナッツを摂取すると脳の血流と記憶力が改善されることが確かめられました。
また、BMI値が31前後と太りすぎに該当する平均年齢65歳の被験者61人を対象とした別の研究でも、高オレイン酸ピーナッツを1日に56~84g、12週間摂取すると脳血管機能と認知機能が改善されたことが示されています。
イギリス栄養財団のブリジット・ベネラム氏は、イギリスの日刊紙のDaily Mailに「ナッツは栄養価が高く、脂肪、タンパク質、食物繊維、その他のさまざまな微量栄養素を含んでいます。心臓病やがん、2型糖尿病のリスクの軽減にも関係していることを考えると、ナッツは健康的な食生活に取り入れるべき素晴らしい食品ですが、カロリーが高いので食べ過ぎないようにするのが肝心です」とコメントしました。
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in サイエンス, 食, Posted by log1l_ks
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