TikTok禁止令は次期トランプ政権で撤回されるのか?
「TikTok禁止はよくない」と公言しているドナルド・トランプ氏が、2024年の大統領選で次期アメリカ大統領に選出されたことで、現職のジョー・バイデン大統領によって署名されたTikTok禁止法の撤回が現実味を帯びてきたと、トランプ政権時代の元政府高官が語りました。
TikTok Awaits Lifeline From President-Elect Trump, Who Once Favored Ban - Bloomberg
https://www.bloomberg.com/news/articles/2024-11-08/tiktok-hopes-for-lifeline-from-president-elect-trump-who-once-favored-ban
Trump’s Cyber Policy Likely to Focus on China, Relaxing Regulation - Bloomberg
https://www.bloomberg.com/news/newsletters/2024-11-08/trump-s-cyber-policy-likely-to-focus-on-china-relaxing-regulation
What a second Trump presidency means for tech - The Verge
https://www.theverge.com/2024/11/8/24291333/second-trump-tech-policy-antitrust-ai-crypto
How tech leaders tied to Elon Musk plan to steer Trump’s government - The Washington Post
https://www.washingtonpost.com/technology/2024/11/08/trump-big-tech-elon-musk-influence-administration/
ドナルド・トランプ氏は、大統領の任期1期目である2020年にTikTok事業の売却を指示していましたが、その後に手のひらを返し、再選を目指す中では「私はTikTok支持」と発言したり、自らTikTokにアカウントを開設したりしています。
ドナルド・トランプがTikTokにアカウントを開設して300万フォロワーを集める - GIGAZINE
伝えられるところによると、トランプ氏が議会にTikTok禁止法の撤回を促したり、司法省に法律を施行しないよう命じたり、TikTokのアメリカ事業売却に代わる妥協案を打ち出したりする可能性はあるものの、一筋縄ではいかないとのこと。
一方、アメリカ国家安全保障局の元法律顧問であるグレン・ガーステル氏は、Bloombergのインタビューに対し、「トランプ氏の勝利がTikTokにとってかなり有利なのは間違いありません。TikTokは今や、TikTok禁止令撤回の支持を公言している大統領を迎えようとしています」と話しました。
TikTokの内部関係者の中にはトランプ氏を信用していない人も存在しており、「選挙運動が終わった今となってはトランプ氏がTikTokのことを気にかけているのかどうかさえ疑わしい」と考える向きもあるといわれています。
それでも、ガーステル氏は「他の要因がごまんとあるので、まだ何も決まっていませんが、潮目はTikTok有利に変化しています」と話しました。
特筆すべきは、トランプ陣営の選挙戦で重要な役割を果たしたイーロン・マスク氏の動向です。マスク氏は、「たとえTikTok撤退がX(旧Twitter)に有利に働くとしても、TikTokを禁止すべきではありません」と述べて、アメリカからのTikTok追放に否定的な見方を示しています。
TikTokは、Bloombergのコメント要請に応じませんでした。
トランプ氏がTikTok支持に態度を改めたのは、同氏の対中姿勢が変化しつつある前触れだとの見方もあります。
Bloombergによると、2期目のトランプ政権下では、中国やロシアなどの敵対国からのサイバー攻撃を念頭にバイデン政権下で施行されたサイバーセキュリティ規制が無視されたり、撤回されたりする可能性があるとのこと。その一方で、トランプ氏は中国からの輸入品に最大60%の関税を課すと発言したこともあり、トランプ氏が対中政策をどのように展開していくのかは不透明となっています。
トランプ氏の再選に悲喜こもごもなのは、テクノロジー企業も同様です。IT系ニュースサイトのThe Vergeは、「トランプ氏がAIや暗号通貨、EV政策に大きな変化をもたらすことになる」と報じました。
特にAI政策やEV政策では、xAIやテスラを所有するマスク氏の影響が色濃く表れることが想定されているほか、トランプ氏は仮想通貨に批判的なことで知られている証券取引委員会のゲイリー・ゲンスラー委員長の更迭を公約に掲げ、アメリカを「ビットコイン超大国」にすると呼びかけています。
加えて、The Washington Postが「マスク氏がトランプ氏の取り巻きになったことで、右派のテック系リーダーは政府にスタートアップ精神をもたらすチャンスを見いだしている」と報じるなど、テクノロジー業界の花形であるマスク氏が政治に深く関与することで生じる政財界の変化が特に大きく注目されています。
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