ボードゲーム「クロキノール」の世界大会で奇跡の「パーフェクトラウンド」が発生、一体何がすごいのか?
円形のリングの上で円盤をはじき、お互いの円盤を跳ね飛ばしつつ点数を稼ぐボードゲーム「Crokinole(クロキノール)」の世界大会において、最も点数が高くなる「中央の穴に円盤を落とす」という動作が2人合わせて16回連続で成し遂げられたことがわかりました。この激闘がどれぐらいすごいのかについて、ジャーナリスト兼エンジニアで自身を「クロキノールの伝道師」と形容するラッセル・サモラ氏が解説しました。
Welcome to Crokinole, the greatest game you’ve never heard of.
https://pudding.cool/2024/10/crokinole/
クロキノールは指で円盤をはじくだけのシンプルなゲームです。2人のプレイヤーがそれぞれ12枚の円盤を持ち、順番に円形のボードの端から中央に向かってはじき、最終的な円盤の位置で得点を計算します。ボードは3つの同心円で囲まれていて、最外周から順番に5点、10点、15点のエリアになっています。
クロキノールでは、ボード上に相手の円盤があるときは必ずそれに当てなければならないというルールがあり、投じた円盤が外れた場合はボードから除外されることになります。中央のエリアは8本のペグで囲まれていて入れにくくなっていますが、中心点には円盤(直径3.2cm)よりもわずかに大きいだけの穴(直径3.5cm)が空いていて、ここに入れると無条件で20点を獲得(オープン20)することができます。
そんなクロキノールの2024年度世界大会が開催され、準決勝のあるラウンドでお互いが8回連続でオープン20を達成する「パーフェクトラウンド」が成し遂げられたことがわかりました。その様子は以下の動画でチェックできます。時間指定をしているので再生ボタンを押すと当該ラウンドをすぐ再生できます。
2024 World Crokinole Championship - Semifinal - Reinman V Slater - YouTube
プレイヤーは、2024年のダブルス部門で優勝したジャスティン・スレーター氏と、2023年度シングルス部門の優勝者であるコナー・ラインマン氏。プロ中のプロの試合にもかかわらず動きはかなり地味という残念な絵面ですが、伝道師サモラ氏いわくパーフェクトラウンドは「偉業」だとのことです。
サモラ氏がまとめた「著名プレイヤーのオープン20試行回数と成功率」を記した表が以下。どのプレイヤーもかなりの回数、オープン20を狙っていて、スレーター氏の成功率は75.6%、ラインマン氏の成功率は66.0%と他のプレイヤーに比べて高いことがわかります。
確率だけを見るとかなり成功しやすそうに思えますが、2人のプレイヤーが8回ずつ成功するのは困難だそうです。
以下は、特定のレベルのプレイヤー同士が対戦した場合、パーフェクトラウンドが起こる確率がどれくらいかを記した表です。下級プレイヤー同士の戦いでパーフェクトラウンドはほぼ起こり得ず、スレイター氏対レインマン氏の試合でさえ277ラウンドに1回の確率となっています。
プレイヤー | オープン20成功率 | オッズ |
スレーター氏対ラインマン氏 | ~70% | 277分の1 |
トップ競技プレイヤー同士 | 65% | 985分の1 |
平均競技プレイヤー同士 | 55% | 1万4263分の1 |
上級アマチュアプレイヤー同士 | 50% | 6万5536分の1 |
中級アマチュアプレイヤー同士 | 45% | 35万3671分の1 |
下級アマチュアプレイヤー同士 | 35% | 1972万199分の1 |
なお、「オープン20が最も失敗しやすいショット」は第一投目だそうです。以下はショットのタイミングと失敗率を示したグラフ。
ちなみに、1人で延々とオープン20を狙い続けて「64回連続成功」という結果が非公式ながら出ているそうです。
サモラ氏は「理論的には、どちらかのスキルがわずかに低下するだけでもオッズに大きな影響を与えます。パーフェクトラウンドはNBAプレーヤーが試合中に20回連続でフリースローを決めるようなもので、不可能ではないが一般的ではありません」とまとめました。
なお、クロキノールを遊ぶためのセットはAmazon.co.jpなどで販売されています。
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