注目を集めるために「偽の動物救出動画」を作成することが世界中のSNSで流行中
捨てられた動物やケガをした動物を人の手で助けるというストーリーは、しばしば感動的なものとして人々に受け止められます。しかし、人々の注目を集めたいが為に動物救出を演出している人がいるとして、動物保護団体が調査報告書をまとめて公開しました。
Spot the Scam: Unmasking Fake Animal Rescues
https://www.asiaforanimals.com/post/spot-the-scam-fake-animal-rescues
People are posting 'fake animal rescues' for social media likes
https://www.thelondoneconomic.com/news/people-are-posting-fake-animal-rescues-for-social-media-likes-383574/
アジア地域で活動する動物保護団体のAsia for Animalsによると、ソーシャルメディアで注目を集めたいと考える人が動物をわざと危険な状況に置き、それを助ける様子を動画にして公開するという行為がいくつか確認されているとのこと。
Asia for Animalsが主導する、29の動物保護団体で構成されるソーシャルメディア動物虐待連合(SMACC)は、Facebook、Instagram、YouTube、TikTok、Twitter(X)を6週間にわたり調査し、偽の動物救出を演出していると思われる動画を複数収集しました。
その結果、すべてのプラットフォームから合計1022個の偽の動物救出動画のリンクが発見され、それぞれの動画を合わせると実に5億7201万3959回もの再生回数に達していたことが確認されたといいます。
これらの動画では、動物が生き埋めになったり、物に閉じ込められたり、あるいは捕食者に襲われたりしている様子が映されていました。
一例として、母猫が目を大きく見開いて体を動かすことができないまま地面に横たわっていて、子猫が泣き叫んで餌を食べようとする様子が映し出され、後日、人によって健康な状態に戻されるというストーリーの動画があったそうですが、この動画を確認した獣医師は「猫に薬物を投与して動けなくしたのではないか」との見解を示しています。
もう1つの例として、子犬の頭がボトルにはまったまま1分以上もがき続けるという動画がありましたが、このボトルは子犬の頭に合わせて意図的にカットされたように見えるといいます。仮に撮影者がわざとボトルをかぶせたわけではないとしても、少なくとも1分以上は救助せず動画を撮影していることから、SMACCは難色を示しています。
なお、確認されたリンクの半分はFacebookとInstagramで見つかっていて、YouTubeとTikTokはそれぞれ約25%を占めていたといいます。また、偽の動物救出動画を配信するクリエイターの21%は動物を助けるという名目で寄付を募っていました。
動物保護団体インターナショナル・アニマル・レスキューのアラン・ナイト会長は、「偽の動物救出動画は、金銭のために動物を搾取し虐待する、著しく卑劣で不快な方法です。これは、人々の思いやりや優しさを利用しているため余計に悪質だと言えます。動物が助けを求めているシーンを真実のように見せるのが実に簡単な行為であるからこそ、各ソーシャルメディアはこの種のコンテンツを特定して削除するべく、もっともっと努力しなければなりません」と述べました。
SMACCの広報担当者は「本物の動物保護団体や組織の活動を詐欺師から守らなければなりません。偽の動物救出動画に寄付金が渡るたびに、困っている動物を本当に助けている本物の団体に寄付される数が1つ減ってしまうのです」と訴えました。
・関連記事
Instagramの有名人たちが違法動物取引を促進しているという指摘 - GIGAZINE
「サルを強制労働させている」としてPETAが宅食サービスのHelloFreshを告発 - GIGAZINE
6年間もタイヤが首にはまったままのワニがついに救助される - GIGAZINE
・関連コンテンツ