フェルメールの絵画「真珠の耳飾りの少女」に魅了されるのにはちゃんとした理由があることが脳科学者の調べで明らかに
画家のヨハネス・フェルメールによる絵画「真珠の耳飾りの少女」(あるいは「青いターバンの少女」)は、世界的に知られる絵の1枚です。なぜ人々はこの絵の少女に魅了されるのか、作品を所蔵するマウリッツハイス美術館が脳科学者の協力を得て調べたところ、絵の中に仕掛けが含まれていることがわかりました。
Can’t take my eyes off you | Mauritshuis
https://www.mauritshuis.nl/nu-te-doen/neuro-onderzoek/
Scientists unlock secret of 'Girl With Pearl Earring'
https://phys.org/news/2024-10-scientists-secret-girl-pearl-earring.html
マウリッツハイス美術館はオランダの画家であるレンブラントやフェルメール、ステーンなどの作品を所蔵しています。フェルメールは寡作かつ40代で亡くなっているため、現代に伝わる作品数はわずかに30点強と少ないのですが、この美術館にはそのうち「真珠の耳飾りの少女」「デルフトの眺望」「ディアナとニンフたち」の3作品があります。
今回の調査は、「真珠の耳飾りの少女」を何らかの複製品で目にすることは多いものの、美術館にある本物を見ることになにか付加価値があるのではないかと考えて行ったものです。調査には脳神経科学者のマーティン・デン・オッター氏や、脳の研究機関・Neurensicsが携わりました。
調査により、マウリッツハイス美術館で「真珠の耳飾りの少女」の本物を見ると、複製品を見たときに比べて10倍の感情的な反応が生じることがわかりました。他の調査対象となった絵画を見たときと比べると、特に大脳の楔前部の活動が増えていたとのこと。
また、調査対象となったどの絵よりも、「真珠の耳飾りの少女」が視線を引きつけることもわかりました。
人間は、たとえ見る対象が人間でも絵画や写真でも、顔を見て、感情を読み解き、安全であるかどうかを判断しようとします。そのために見るのは目と口です。
調査によると、「真珠の耳飾りの少女」を見た人は、まず少女の目を見て、次に口元、そして真珠の耳飾りと順番に視線を移し、再び目、口元、耳飾りと視線がループしていたとのこと。これにより、「真珠の耳飾りの少女」に魅入られたかのように目が離せない状態ができあがっていたというわけです。オッター氏は、フェルメールが「持続的注意ループを仕掛けた」と表現しています。
マウリッツハイス美術館のマーティン・ゴスリンク館長は、フェルメールの作品は通常、どこか1点に焦点を当て、その他の部分は少しあいまいにしているのに対し、「真珠の耳飾りの少女」は目、口、真珠と視線を集める場所が複数ある点に違いがあると指摘。「フェルメールの絵では、誰かが書きものをしていたり、針仕事をしていたりと、忙しそうな人が描かれていますが、この絵は大きく違います。彼女は、あなたを見ているのです」と述べました。
・関連記事
フェルメールの名画「真珠の耳飾りの少女(青いターバンの娘)」がまさかの立体化 - GIGAZINE
フェルメールの名画をミルクとチーズのスープに仕立てた「フェルメールの”牛乳を注ぐ女”のスープ」をスープストックトーキョーで食べてみた - GIGAZINE
Adobeがゴッホやフェルメールの「絵筆のタッチ」を学習して技法を再現するAIを開発 - GIGAZINE
世間に大きなインパクトを与えた「歴史に残る7つの強盗・窃盗事件」とは? - GIGAZINE
・関連コンテンツ