ネットサービス

オンライン学習サイトのUdemyが「生成AIトレーニングのオプトアウト期間」をわずか3週間で終了してしまい講師陣に動揺が広がる


オンライン学習プラットフォームであるUdemyは、2024年7月にAIを活用したツールについて発表し、その中で講師が投稿したコンテンツを生成AIのトレーニングに使うことを明らかにしました。その後、講師が自らのコンテンツが生成AIのトレーニングに使われることを拒否できる期間が設けられましたが、このオプトアウト期間がわずか3週間で終わってしまったことで講師陣に動揺が広がっていると、海外メディアの404 Mediaが報じています。

Massive E-Learning Platform Udemy Gave Teachers a Gen AI 'Opt-Out Window'. It's Already Over.
https://www.404media.co/massive-e-learning-platform-udemy-gave-teachers-a-gen-ai-opt-out-window-its-already-over/


Udemyが2024年7月に発表した生成AIツールは、学習者がチャットで自分に合った講座を見つけられるAIアシスタントや、組織管理者が従業員を訓練するための学習プログラムを組むためのツール、そして講師が自らの講座で利用できるコンテンツをAIが生成してくれるツールなどです。

8月14日に公開されたUdemyの講師向け生成AIポリシーのページを見ると、講師は生成AIプログラムに自動的に参加することとなり、指定された年次期間中にオプトアウトした場合を除き、提出コンテンツの利用権がUdemyに付与されることが記されています。なお、Udemyは生成AIコンテンツから生じた収益の一部を講師に分配するとしていますが、その詳しい分配方式については不明です。

講師向け生成AIポリシー – Udemy
https://support.udemy.com/hc/ja/articles/25180159300631-講師向け生成AIポリシー


Udemyは8月21日から「生成AIプログラムのオプトアウト期間(指定された年次期間)」を設けていましたが、オプトアウト期間は9月12日に終了しました。つまり、講師が自らのコンテンツを生成AIのトレーニングに利用されないようにできるチャンスは、わずか3週間しか与えられなかったというわけです。

すでにオプトアウト期間が終了しているため、記事作成時点で講師が生成AIプログラムへの参加を拒否しようとしても、以下のようにグレーの選択不能なオプションが表示されるだけとなっています。なお、新たにUdemyへ講師登録を行うユーザーには、それぞれオプトアウト期間が設けられる予定であるほか、その他の講師にも毎年オプトアウト期間が与えられるとのことです。


404 Mediaは、「この異例の時間ベースのオプトアウト期間は、当然のことながら一部の講師を動揺させています」と述べています。実際にUdemyで講座を持っているケイティ・ルーツ氏はLinkedInへの投稿で、「過去5年間でUdemyのポリシー変更に同意したことは一度もありません。今日、新しいAIツールに関するメールが届いて驚きました。設定でオプトアウトしようとしたところ、オプションがグレーで表示されていて、ユーザーに通知するとされている特定の期間のみに設定を変更できることがわかりました。すみませんが、Udemyではこれが合法なのでしょうか?」とコメントしています。

ルーツ氏は404 Mediaの問い合わせに対し、今回のメールが届くまで生成AIプログラムについて知らなかったとしています。「合理的な方法で合意も通知もされていない知的財産の窃盗など、信じられません。これは違法であるべきです。その上で、講座が私のコンテンツである以上、いつでも同意を撤回することが許されるべきです」とルーツ氏は述べ、一定の期間中にしかオプトアウトできないUdemyの方針を批判しました。


また、1万人以上のユーザーを持つDiscordチャンネルを運営し、デジタルアーティストの講座をUdemyで展開していたハーディ・ファウラー氏は、生成AIプログラムの導入を受けてUdemyから完全に撤退しました。

ファウラー氏はDiscordへの投稿で、「お知らせですが、私はUdemyと正式に決別しました。私がこんなことを言うとは思いも寄りませんでした」「ここ数年、Udemyはさまざまな改悪を行ってきましたが、最後のとどめを刺したのは先週公表された新しいポリシーです。それは講師のコンテンツがUdemyの生成AIのトレーニングに使用され、他の多くのプラットフォームで見られるような、意図的に難しくしたようなオプトアウトツールが使用されるというものでした」と述べています。


テクノロジー企業がユーザーのコンテンツを使用して生成AIをトレーニングすることについては、近年インターネット上でさまざまな論争が繰り広げられています。AIを開発しているプラットフォームのほとんどは、Udemyと同様に自動でオプトインする設定を導入しており、クリエイターからは反発の声が上がっています。

しかし404 Mediaは、その中でもUdemyのプロセスは他の企業と比較して透明性が高いものだと指摘。AIモデルからオプトアウトしたユーザーのコンテンツを削除する時間的コストを考えれば、オプトアウト期間の存在も理解できるとしています。

Udemyの講師およびコンテンツ戦略担当ヴァイスプレジデントのスコット・ロジャーズ氏は、「Udemyでは、講師が自分のコンテンツを完全にコントロールできるべきだと信じています。これには、私たちの生成AIモデルにコンテンツを含めるかどうかの決定も含まれます。私たちは講師と透明性を持って協力し、講師のコンテンツの権利を保護することで、講師が最適な方法で私たちのビジネスと共に成長し続けられるよう努めています」と、404 Mediaへの電子メールで述べました。

この記事のタイトルとURLをコピーする

・関連記事
LinkedInが同意なしで勝手にユーザーデータを生成AIのトレーニングに使っていたことが判明 - GIGAZINE

文章作成AIの学習内容から自分のデータを除外してもらうにはお金を払うしかないケースがある - GIGAZINE

複数の大手ニュースサイトがAppleのパーソナルAI「Apple Intelligence」をトレーニングするために使用されるクローラーをブロックしていることが明らかに - GIGAZINE

ソニーミュージックがコンテンツを学習しないようAI開発者に警告 - GIGAZINE

Googleが生成AIのトレーニングに自分のウェブサイトが使われないようにするオプションを発表、もう遅いという指摘も - GIGAZINE

Adobeが「ユーザーコンテンツをAI学習しない」と明記する形へ利用規約を再度全面見直し - GIGAZINE

MetaがFacebookとInstagramの成人ユーザーの投稿をAIに学習させていることが判明、ユーザーに拒否権なし - GIGAZINE

Slackがユーザーの明示的な許可なくメッセージなどをAIトレーニングに利用していることが判明 - GIGAZINE

in ネットサービス, Posted by log1h_ik

You can read the machine translated English article here.