サイエンス

水を使わず排泄物を蒸発させるトイレが誕生


排泄(はいせつ)物の水分を吸収して蒸発させ、水を使わずに処理することが可能なトイレ「iThrone」が開発されました。上下水道への接続を必要としないため、水源にアクセスしにくい人々の助けになることが期待されています。

MIT Solve | iThrone: the waste-evaporating toilet - Overview
https://solve.mit.edu/challenges/resilient-ecosystems/solutions/51383

Diana Yousef: from NASA consultant to inventor of a toilet that evaporates waste | Science | EL PAÍS English
https://english.elpais.com/science-tech/2024-08-18/diana-yousef-from-nasa-consultant-to-inventor-of-a-toilet-that-evaporates-waste.html

生化学者のダイアナ・ユセフ氏が開発したiThroneは以下のような形状をしています。通気性が高く、一方から水分を吸収して反対側に通す性質を持った「膜」が取り付けられていて、排泄物の90%~95%を蒸発させることができます。


iThroneを使うことで水が不足しがちな場所でも衛生環境を維持できるほか、処理に用いる膜や排泄物の大部分を堆肥として再利用することが可能だそうです。

既にウガンダの難民キャンプで試験配備が行われ、約400人が利用しています。報告によると、排泄物は衛生的な方法で完全に封じ込められていて、臭いは検出されず、メンテナンスも2~3週間に1回で済み、既存の設備の6~10倍も効率的に排泄物を処理できたといいます。


3人の娘を抱えるユセフ氏は「適切な衛生設備がないために、女性と女児が不当な被害を受けている現状を憂いています。トイレに行きたくなったという理由だけで女性がレイプされ、さらには殺害されるという、あまり議論されていない大きな問題があります。世界の学校の50%には十分な衛生設備がありません。学校に行くと、トイレに行きたくなる衝動と戦い、食べず、飲まず、疲れてしまい、注意力が低下します。そして、生理が始まると、毎月1週間学校を休み、後れを取ってしまうのです」と述べました。

iThroneは健康改善とデジタル技術の部門で財団のイノベーション賞を受賞しています。本体の価格は1台当たり200ドル(約2万9000円)程度になると見られ、大規模生産が始まるとさらに価格が低下すると見込まれています。同様の設備を設置するには数万ドル(数百万円)かかることもあるため、iThroneは安価でシンプルかつ、廃棄物をその場で処理できる方法として期待が寄せられています。

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in サイエンス, Posted by log1p_kr

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