偽薬だけでなく「偽手術」も痛みや症状を軽減する効果をもたらすと専門家が語る
プラセボ効果とは、生理学的効果を持たない偽薬を飲むことで症状の改善がみられる現象のことです。イギリスのレスター大学で共感ヘルスケア学の教授を務めるジェレミー・ハウィック氏が、偽薬だけでなく実際には治療をしない「偽手術」も、患部の痛みの軽減といった実際の手術と同様の効果をもたらすと語っています。
‘Placebo’ or ‘sham’ surgery is not a cruel trick – it can be very effective
https://theconversation.com/placebo-or-sham-surgery-is-not-a-cruel-trick-it-can-be-very-effective-229896
1990年代、椅子から立ち上がるのに苦労するほどの膝の痛みを抱えた患者180人を、「実際の膝関節鏡視下手術を受けるグループ」と「偽の膝関節鏡視下手術を受けるグループ」にランダムで割り当てる実験が行われました。
実際の手術を受けた患者には鎮痛剤が投与され、小さな金属チューブ(関節鏡)を膝に挿入して、損傷した軟骨の修復や痛みの原因となる骨片の除去などの処置がとられました。一方、偽手術を受けた患者は同様に鎮痛剤が投与され、膝に金属チューブが入る程度の小さな切開が行われたものの、チューブの挿入や軟骨の修復、骨片の除去といった実際の処置はとられませんでした。偽手術の最中も、執刀医や看護師は実際の手術と同じような音を立てており、患者は本物の手術が行われたと信じ込んでいたとのこと。
その後、研究チームは2年間にわたり患者を追跡し、患者の自己申告でどれほどの痛みや機能的な問題があるのかを定期的に調査しました。また、「痛みが邪魔になる前に何段の階段を上ることができたか」といったテストも行い、実際の手術と偽手術が患者にもたらした影響を調査しました。
・関連記事
なぜ「これは偽薬だ」と知っている人にもプラセボ効果が現れるのか? - GIGAZINE
偽薬で症状が改善する「プラセボ効果」では脳で何が起こっているのか? - GIGAZINE
「自分が服用しているのは偽薬である」と知っていてもプラシーボ効果が発揮される可能性 - GIGAZINE
プラシーボ効果だけでハイになってサイケデリックな体験ができることが判明 - GIGAZINE
「女性患者の執刀医が男性だった場合は執刀医が女性の場合より死亡率が32%も高い」との研究結果 - GIGAZINE
手術前に高脂肪な食事をすると術後の記憶力が損なわれる可能性、脳のダメージを和らげるサプリも判明 - GIGAZINE
10人に1人は全身麻酔を受けても意識を保っていることが判明 - GIGAZINE
・関連コンテンツ