インターネットアーカイブがDDoS攻撃を受けてサービスのほとんどが一時停止に追い込まれる

ウェブコンテンツ等の保存活動を行うインターネットアーカイブがDDos攻撃を受けました。サービスが一時利用できなくなりましたが、記事作成時点で復旧しています。

2024年5月28日1時、インターネットアーカイブがXやMastodonで「DDoS攻撃を受けた」と報告しました。インターネットアーカイブによると、ホームページのarchive.orgがDDoS攻撃を受けたため、ほとんどのサービスが利用できなくなってしまったとのこと。関連するデータに影響はありませんでした。


その後復旧作業が進められ、およそ1時間後に完了。管理者のブリュースター・ケール氏が「攻撃者との間で一進一退のやりとりとなりました。多少の調整はしましたが。とにかく、ハッピーメモリアルデー！」と報告しました。


非営利団体のインターネットアーカイブにDDoS攻撃を仕掛けるという攻撃者の行動について、ソーシャルサイトのHacker Newsでは「図書館に火を放つようなものだ」と批判されています。単なる嫌がらせなのか、DDoSの効果を測定したかったのかは定かではありませんが、あるユーザーはDDoS攻撃がとても安価に実行できるという点を指摘し、「容疑者はおろか、その目的を分析しようとしても徒労に終わるでしょう」とコメントしています。

◆2024年05月30日 10時45分追記
2024年5月28日、インターネットアーカイブがDDoS攻撃について声明を出しました。全文は以下の通り。

「何百万もの歴史的文書、保存されたウェブサイト、メディア・コンテンツを所蔵する非営利の研究図書館、インターネットアーカイブは、断続的なDDoS攻撃を回避して現在3日目です。スタッフによると、サービスは安定していないものの、コレクションは無事だとのこと。8660億以上のウェブページの履歴を保存するInternet Archive Wayback Machineへのアクセスにも影響が出ています」

「攻撃が始まって以来、DDoS攻撃は毎秒数万件の偽情報要求を打ち出しています。攻撃源は不明です」

「インターネットアーカイブの創設者でデジタル・ライブラリアンであるブリュースター・ケール氏は次のように述べました。『ありがたいことにコレクションは無事ですが、この3日間、攻撃によって断続的にオフラインになったことを残念に思います。他の方々のご支援とスタッフの懸命な努力により、私たちはより信頼性の高いアクセスを提供するため、防御を強化しています。新しいのは、この攻撃が持続的で、インパクトがあり、標的を絞り、適応力があり、そして重要なのは、卑劣であるということです』」

「サイバー攻撃はインターネットアーカイブやその他の知識機関に対してますます頻繁に行われるようになっており、大英図書館、カリフォルニア州ソラノ郡公共図書館、ベルリン自然史博物館、オンタリオ州ロンドン公共図書館などが最近の被害者です」

「インターネットアーカイブは最近のサイバー攻撃の波に加えて、アメリカの書籍出版業界団体とレコード業界団体から著作権侵害を主張され、すべてのアーカイブに対して合計数億ドル(数千億円)の損害賠償とサービスの低下を要求されています」

「もし世界中の利用者がこの状況に動揺しているのだとしたら、出版業界やレコード業界が何を考えているのか、とても心配になるはずです。彼らはインターネットアーカイブを完全に破壊し、世界中の類似サービスの足かせにしようとしているのでしょう。私たちがDDoS攻撃に抵抗しているのと同じように、私たちのアーカイブや他のサービスに対する不当な訴訟に反撃するためのすべての支援に感謝します」

Internet Archive and the Wayback Machine under DDoS cyber-attack | Internet Archive Blogs
https://blog.archive.org/2024/05/28/internet-archive-and-the-wayback-machine-under-ddos-cyber-attack/