航空会社が遅延・欠航便の払い戻しを義務づけられる
フライトにキャンセルまたは大幅な変更が発生した場合、航空会社は顧客への払い戻しを行わなければならないと定めた規則がアメリカ運輸省により制定されました。
Biden-Harris Administration Announces Final Rule Requiring Automatic Refunds of Airline Tickets and Ancillary Service Fees | US Department of Transportation
https://www.transportation.gov/briefing-room/biden-harris-administration-announces-final-rule-requiring-automatic-refunds-airline
これまでは、遅延・欠航便が発生したとしても、どの便が払い戻しの対象となるのかは各航空会社の判断に委ねられていたため、利用者が払い戻しの権利を主張することや、そもそも払い戻しの権利があるのかどうかを知ることすら困難になっていたとのこと。こうした状況を改善すべく発効された今回の規則により、航空会社は明確なルールの下で利用者に払い戻しを行う義務を負うことになります。
◆フライトにキャンセルまたは大幅な変更があった場合
フライトにキャンセルまたは大幅な変更が発生し、利用者に代替交通手段や旅行クレジットの提供を行えなかった場合、航空会社は利用者に払い戻しを行う必要があります。
「大幅な変更」とは、国内線では3時間以上、国際線では6時間以上の遅延が該当します。このほか、出発または到着空港が変更された場合、乗り継ぎ回数が増加した場合、低い搭乗クラスに格下げされた場合、異なる空港での乗り継ぎまたは異なる飛行機でのフライトに変更され、障害のある人のアクセスが悪くなった場合なども含まれます。
◆手荷物の返却が著しく遅れた場合
受託手荷物の紛失届を提出した利用者が、国内線がゲートに到着してから12時間以内、または国際線がゲートに到着してから15~30時間以内に受託手荷物を受け取れなかった場合、受託手荷物料金の払い戻しを受けることができます。
◆追加サービスが提供されなかった場合
航空会社がWi-Fiや指定座席、機内エンターテイメントなどの追加サービスを提供しなかった場合、乗客は追加サービスに対して支払った料金の払い戻しを受けられます。
これらの払い戻しは、利用者が明示的に要求したり、面倒な手続きをしたりすることなく、自動的に行われなければならないと規則で定められています。具体的には、クレジットカードによる購入の場合は払い戻し期限が到来してから7営業日以内、その他の支払い方法の場合は20日以内に払い戻しを行う必要があります。
加えて返金方法にもルールがあり、金券やクーポンではなく現金やクレジットカードやマイルなど「元の支払い方法」で払い戻しを行わなければならないほか、支払われた手数料等をすべて含む全額を払い戻さなければなりません。払い戻しの対象となる航空券は、航空会社からの直接購入に加え、旅行代理店、ExpediaやTravelocityなどの第三者サイトから購入したものも含まれます。
運輸省によると、払い戻しに関する苦情は新型コロナウイルス感染症の拡大で激増し、2020年には運輸省に対する苦情全体の87%を占めるまでに膨れ上がったとのこと。今回の規則発効に当たり、ピート・バティギグ運輸省長官は「利用者は複雑な手続きや値切り交渉に悩まされることなく返金してもらう権利があります。我々の新しいルールは、航空会社が速やかに払い戻しを行うことを義務付ける、新しい基準を設定するものです」と述べました。
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