サイエンス

ハインツのトマトケチャップのフタに隠された秘密とは?

by Mike Mozart

トマトケチャップなどの調味料メーカーであるハインツは、持続可能な社会の実現に向けて、2023年11月から自社のトマトケチャップ製品に完全にリサイクル可能なキャップを導入しています。このキャップの構造について、産業用CTスキャナーを手がける企業「Lumafield」が解説しています。

Heinz’s Sustainable Ketchup Cap
https://www.lumafield.com/article/heinzs-sustainable-ketchup-cap


従来のハインツ製トマトケチャップのキャップは原料にシリコーンが用いられていたことで、一部のリサイクル施設での処理が不可能でした。しかし、新たなキャップは全てポリプロピレンによって形成されており、プラスチックのリサイクルを手がける全ての施設で受け入れることが可能です。

以下は従来のキャップ(左)とポリプロピレン製の新しいキャップ(右)を比較した画像です。従来のキャップは密度が一定ではないことが色のムラからわかります。一方で、新しいキャップは各部位が均一な密度であることが確認できます。


また、新しいキャップはリサイクルのしやすさに優れているだけでなく、ケチャップのかけやすさも向上しています。ケチャップを絞り出すには、ボトルを押して圧力をかける必要があります。ボトルが絞られると、中のケチャップは外側の流路を通り、ボトルの外へ押し出されます。その際、外側の流路と内側の流路の間に隔てられた壁によって、逆流を防ぐことができるだけでなく、効率的にケチャップを絞り出す圧力をかけることが可能になります。

また、圧力がかからなくなると粘度が上がるケチャップの特性を生かし、液だれやキャップの汚れを防ぐ仕組みになっているとのこと。


一般的にリサイクル可能なプラスチックは、リサイクルできないプラスチックよりも性能が悪く、材料の使用量を減らすことで耐久性も低下するとされています。このため、性能を悪化させることなくリサイクル可能なプラスチック製品を開発するには慎重な設計と多くの微調整が必要。ハインツのリサイクル可能なキャップの開発には約120万ドル(約1億7600万円)が投じられたとされています。

この記事のタイトルとURLをコピーする

・関連記事
ハインツが「火星と同一条件で栽培されたトマト」を使ったケチャップを発表 - GIGAZINE

ハインツのケチャップに記載のQRコードにアクセスするとポルノサイトへ飛ぶ被害が発生 - GIGAZINE

プリンターのトナーカートリッジは新品でも満タンなわけではない、その理由とは? - GIGAZINE

さまざまなUSB-Cコネクタをスキャンして違いを検証、Appleの1万円超え純正ケーブルと安価なケーブルではどんな違いがあるのか - GIGAZINE

AppleのAirPods Proの本物と偽造品をCTスキャンするとニセモノがいかに粗悪かがよくわかる - GIGAZINE

in サイエンス,   , Posted by log1r_ut

You can read the machine translated English article here.