イーロン・マスクから訴えられたChatGPT開発のOpenAIが「イーロンはOpenAIの絶対的支配を望んでいた」と語る
起業家のイーロン・マスク氏が、ChatGPTの開発元であるOpenAIを訴えた件について、OpenAIが自社ブログで反論しています。OpenAIは、「OpenAIとテスラの合併」あるいは「OpenAIの過半数の株式の取得、取締役会の支配権の獲得、CEOへの就任」のいずれかをマスク氏が望んでいたと指摘しました。
OpenAI and Elon Musk
https://openai.com/blog/openai-elon-musk
OpenAI says Elon Musk wanted ‘absolute control’ of the company - The Verge
https://www.theverge.com/2024/3/5/24091773/openai-response-elon-musk-breach-of-contract-lawsuit
2024年3月、イーロン・マスク氏が自身も立ち上げに携わったAI開発団体のOpenAIを訴えました。マスク氏はオープンソースのAGI(汎用人工知能)を開発するために非営利組織として立ち上げられたはずのOpenAIが、Microsoftの事実上の子会社に変わってしまったと主張。マスク氏は裁判所に対して、OpenAIをオープンソースのソフトウェアを開発する非営利団体に強制的に戻し、サム・アルトマン氏とグレッグ・ブロックマン氏が財務上の利益のためにOpenAIやその資産を利用すること、あるいはMicrosoftやその他の団体の利益のためにOpenAIを利用することを禁止する命令を出すよう求めました。
イーロン・マスクがChatGPTの開発元OpenAIを訴える、「Microsoftの事実上の子会社」と主張 - GIGAZINE
この訴訟に対して、OpenAIはマスク氏のすべての主張を取り下げさせる方向で動くと自社ブログ上で述べています。
マスク氏の「OpenAIは非営利団体としての本来の使命を放棄している」という主張に対して、OpenAIは「我々の使命を推進するためには営利組織となる必要があるという話し合いを行っていた際、マスク氏はOpenAIのテスラとの合併か、マスク氏がOpenAIの完全な支配権を獲得すること(=過半数の株式の取得・取締役会の支配権の獲得・マスク氏のCEOへの就任)を望んでいました」」と記しています。
この提案を拒んだ理由として、OpenAIは「個人がOpenAIを完全に制御するというのは我々の使命に反する決断であると感じたためです。マスク氏との営利契約に同意することはできませんでした」と説明しました。
マスク氏は訴状の中で、OpenAIは人類に利益をもたらすのではなく金儲けに重点を置いたMicrosoftの「事実上のクローズドソースな子会社に変わってしまった」と主張。これはOpenAIが設立当初にかかげていた「人類の利益のため」という使命を放棄しており、資金提供に携わったマスク氏との契約違反に相当するとも主張しています。
ただし、マスク氏がOpenAIとの間に結んだという「契約」は公表されておらず、OpenAIもブログの中で契約が存在するのか否かについては一切触れていません。
他にも、OpenAIは自社の開発状況をオープンソース化しなくなったという批判に対して、「イーロンは我々の使命が『AGIのオープンソース化』を意味するものではないと理解していた」と主張しています。
その証拠として提示されたのが、2016年1月にOpenAI内でやり取りされた以下のメールです。
メールではOpenAIの共同設立者のひとりであるイルヤ・サツキヴァー氏が、「AIの構築に近づくにつれ、あまりオープンでなくなっていくというのは当然のことです」「科学を共有しなくても全く問題ありません」というメールを関係者に送信しており、これに対してマスク氏が「そうだね」と返信していることが確認できます。
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