頂点でピタッと自立する機械仕掛けの立方体「バランシングキューブ」を自作した男性が登場
人工衛星の姿勢制御装置と同じ技術により、一見すると不安定な角度で静止することが可能な装置「バランシングキューブ」の動画を、エンジニアのウィレム・ペニング氏が公開しました。
GitHub - willem-pennings/balancing-cube: A cube that balances itself in a corner or edge using reaction wheels
https://github.com/willem-pennings/balancing-cube
Balancing cube – Willem Pennings
https://willempennings.nl/balancing-cube/
以下の動画を再生すると、バランシングキューブが実際に動作している場面を見ることができます。
A cube that balances on its corner - YouTube
これがバランシングキューブです。
パッドに頂点を突き立てるようにして置くと、リアクションホイールがモーター音を上げて回転しながらバランスを取り、キューブが直立しました。
指でつつかれても倒れることなく姿勢を保っています。
隙間にトマトを置いて重さの均衡を変化させても問題なし。
制作者のウィレム・ペニング氏は、強度に優れたステンレス鋼と軽いアルミを使ってこのキューブを作りました。とはいえ、アルミでも剛性は十分なので必ずしもステンレス鋼を使う必要はないそうです。
バランシングキューブの姿勢制御には、モーターとフライホイールから成るリアクションホイールが使われています。
3つのリアクションホイールを組み立てるとこんな感じ。
これに慣性計測装置(IMU)を搭載したマザーボードとバッテリーを取り付ければバランシングキューブの完成です。
元となったのは、スイス・チューリッヒ工科大学が作った「Cubli」です。
The Cubli: a cube that can jump up, balance, and 'walk' - YouTube
ブラジル・サンパウロ大学の研究チームは、Cubliをさらに改良してIMUを6つから1つに減らしました。ペニング氏が、この改良版Cubliの自作に挑戦したのが今回のバランシングキューブです。
The Cubli: Modeling and Nonlinear Attitude Control Utilizing Quaternions - YouTube
ペニング氏は、リアクションホイールにブレーキ機能を追加し、バランシングキューブが自分で跳ね起きられるように改良する予定とのことです。
なお、ペニング氏は以前M&Mのチョコレートを分別する機械を作ったことがある人物です。ペニング氏がこの装置を発表した時は「またこんな役に立たないマシンを」というコメントがたくさん来たとのこと。
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ペニング氏は「M&Mの分別機に実用的な価値はありませんが、果物や野菜やナッツを色分けできる同様の機械には実用的な価値があります。このキューブも同じで、作った目的は学習と研究のためですが、リアクションホイールはジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡などの人工衛星の姿勢制御にも使われています」と話しました。
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