ハードウェア

ついにHDD容量は30TBの大台に、Seagateが記録密度を大幅に高めるHAMR技術採用のHDD「Exos Mozaic 3+」を発表


アメリカの記憶装置メーカー・Seagateが2024年1月17日に、史上初となる30TB超の容量を実現するデータセンター向けHDDプラットフォーム「Mozaic 3+」を2024年3月までに市場投入することを発表しました。

Seagate’s Breakthrough 30TB+ Hard Drives Ramp Volume, Marking an Inflection Point in the Storage Industry | Seagate
https://www.seagate.com/news/news-archive/seagates-breakthrough-30tb-plus-hard-drives-ramp-volume-marking-an-inflection-point-in-the-storage-industry-pr/

30TB hard drives are nearly here — Seagate’s Mozaic 3+ HAMR platform to provide the next jump in HDD capacities | Tom's Hardware
https://www.tomshardware.com/pc-components/hdds/seagates-mozaic-3-hamr-platform-targets-30tb-hdds-and-beyond

Seagate Unveils Mozaic 3+ HDD Platform as HAMR Readies for Volume Ramp
https://www.anandtech.com/show/21235/seagate-unveils-mozaic-3-hdd-platform-as-hamr-readies-for-volume-ramp

Seagate launches biggest hard drive ever — 30TB Exos Mozaic 3+ HDD can store more than 1,000 Blu-ray movies and, yes, everyone will be able to buy them | TechRadar
https://www.techradar.com/pro/seagate-launches-biggest-hard-drive-ever-30tb-exos-mozaic-3-hdd-can-store-more-than-1000-blu-ray-movies-and-yes-everyone-will-be-able-to-buy-them

Seagateが発表した「Mozaic 3+」は、「熱アシスト磁気記録(HAMR)」によりプラッタ(磁気ディスク)当たり3TBの面密度を達成したHDDプラットフォームで、同社の主力製品である「Exos」シリーズとして容量30TB以上の「Exos Mozaic 3+」が2024年第1四半期中に市場投入されます。

Seagateのデーブ・モーズリーCEOは声明で、「当社はプラッタ当たり3TBを実現する面密度能力を持つ世界で唯一のHDDメーカーであり、5TBも視野に入れています」と話しました。具体的には、2026年までに40TB超の「Mozaic 4+」をリリースする予定であるほか、早ければ2028年には50TBを超える「Mozaic 5+」も登場するとのこと。


磁気メディアの容量と安定性を両立させる上では、記憶領域が磁化の方向を維持する力である保磁力がカギとなりますが、保磁力が高いと今度は磁化されていない状態に戻すのに必要な磁気ヘッドの磁界も強くなってしまうため、これがネックとなっていました。

今回発表されたMozaic 3+では、記憶領域を短時間加熱して保磁力を急激に低下させつつ書き込みを行うHAMRにより、面密度の飛躍的な向上に成功しており、容量30TBの「Exos Mozaic 3+」は従来の一般的な大規模データセンターに使われる16TBの垂直磁気記録方式(PMR)ドライブに比べて設置面積当たりの容量が倍増しています。


Mozaic 3+には他にも、鉄-プラチナ超格子構造により保磁力を向上させて高いビット安定性を実現した「超格子プラチナ合金メディア」、ナノフォトニック・レーザーで記憶領域に極小のヒートスポットを生成して確実な書き込みを可能とする「プラズモニック・ライター」、世界最小かつ最高感度の磁界読み取りセンサーを搭載した「第7世代スピントロニック・リーダー」、これらのテクノロジーを統合することで従来に比べて最大3倍の性能を発揮する「12nmコントローラー」などの技術が盛り込まれています。

こうした高密度化技術により、Mozaic 3+は従来のHDDとほぼ同じ素材を使用しつつ容量を大幅に増やすことができるため、データセンターのテラバイト当たりの消費電力は従来の16TBのPMRドライブと比べて40%改善し、テラバイト当たりの炭素量は55%削減されるとのこと。


モーズリーCEOは「AIのユースケースでは、生のデータセットが重視されるので、できる限り多くのデータを保持しなくてはならない企業が増えるでしょう。結果として生じる大量のデータに対応するには、これまで以上に面密度が重要になります」とコメントしました。

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in ハードウェア, Posted by log1l_ks

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