生き物

安楽死処分目前だった重度の故障馬が奇跡の復活を遂げ人気薄ながらレースに勝つまで


2024年1月、イギリス・ウルヴァーハンプトン競馬場で行われたオールウェザー・7ハロン(約1400m)のレースで、A Pint of Bearという6歳の競走馬が勝利を収めました。A Pint of Bearは、獣医師がほぼ安楽死処分を決めたほどの大ケガを負い、そこから復帰して12戦目での待望の勝利となりました。

A Pint Of Bear | Race Record & Form | Racing Post
https://www.racingpost.com/profile/horse/3243593/a-pint-of-bear/form

Miracle horse who was 'seconds away from being euthanised' wins at 16-1 after making astonishing recovery | Racing Post
https://www.racingpost.com/news/britain/miracle-horse-who-was-seconds-away-from-being-euthanised-wins-at-16-1-after-making-astonishing-recovery-aDXiE4b7dHPj/


Miracle horse who was seconds from being put down recovers to become racing champion - Mirror Online
https://www.mirror.co.uk/sport/horse-racing/miracle-horse-who-seconds-being-31862551

'Rescued from euthanasia, the incredible horse defied all odds with a stunning recovery and triumphed at 16-1.' // Tony's Form Guide
https://tonysformguide.com/news/rescued-from-euthanasia-the-incredible-horse-defied-all-odds-with-a-stunning-recovery-and-triumphed-at-161

A Pint Of Bearは2018年3月25日生まれの牡馬。父はセレブレイション・マイル(GⅡ)などを4勝したKodi Bearで、1990年代から2000年代にかけて種牡馬として大成功したデインヒルの子孫にあたります。母はHeart of An Angelという未勝利馬で、母の父は2歳GⅠ・ミドルパークS勝ちなど4勝で種牡馬入りしたDark Angel。祖先をたどるとワージブトライマイベストなど日本でも供用された種牡馬の名前が出てきます。

2020年10月にデビューしたA Pint Of Bearは2戦目で初勝利、4戦目で2勝目、9戦目で3勝目と、じわじわ勝ち星を重ねていました。


しかし、2021年8月21日にヨーク競馬場で行われた芝5ハロン(約1000m)のレースで他馬とぶつかり、後ろ脚の腱を切る大ケガを負いました。競馬場の獣医師らは、スコット・ディクソン調教師の父親で、共同馬主の1人だったポール・ディクソン氏に、A Pint Of Bearは「予後不良」、つまり回復は困難であり安楽死処分を行うのが適当であると伝えたそうです。

希望する安楽死の方法を尋ねられたディクソン氏は、A Pint Of Bearの目に力が宿っているのを見て、なんとかして救いたいと相談。獣医師らは、切れた腱を見つけてなんとかつなぎ合わせてみると応じたとのこと。

ディクソン氏の願いが叶って、A Pint Of Bearの後ろ脚の腱はなんとかつなぐことができ、数カ月かけて肉体的・精神的なリハビリが行われました。

当初、ディクソン氏は命が助かったA Pint Of Bearを引退させる予定だったようですが、ケガが癒えたA Pint Of Bearは牧場を走り回るようになり、定期的にケガのスキャンを行っていた獣医師から「これほど回復した事例は見たことがなく、もし望むなら調教に戻すこともできる」とお墨付きを得たことで復帰が決定。

ケガから636日(約1年9カ月)後の2023年5月、A Pint Of Bearはイギリス・サークス競馬場で行われた芝5ハロンのレースで11頭立ての11着ながら復帰を果たしました。

その後、復帰4戦目となる2023年10月のレースでは11頭立ての2着に入り、復帰12戦目となる2024年1月のレースでついに4勝目を挙げました。このレースのA Pint Of Bearのオッズは「16/1(16倍)」。他に「50/1(50倍)」の馬がいたため最低人気ではないものの、決して「勝つだろう」と思われていたような馬ではありませんでした。

ディクソン氏は「私たちは幸運にも多くのいい競走馬を所有し、過去にはイギリスやアメリカのトップレースを買ったこともありますが、先日A Pint Of Bearが得た勝利ほどにうれしかったものはありません。ずっと一緒に暮らしていくつもりです」とその喜びの大きさを表現しています。

この記事のタイトルとURLをコピーする

・関連記事
競馬の短距離レースで勝つための理想的な戦略を算出する初の数学的モデルが作られる - GIGAZINE

「18億円馬券」を換金せず棒に振った伝説のギャンブラーとは? - GIGAZINE

競走馬の見た目を変えて「遅い馬の替え玉」として出走させるイカサマで大勢をだました男とは? - GIGAZINE

馬をムチでたたいても速くなったり制御しやすくなったりはしない - GIGAZINE

競走馬が「自分がレースしている」ことを認識している可能性は低い - GIGAZINE

金沢競馬でレース中に照明が消える事態が発生しレースが不成立に - GIGAZINE

in 生き物, Posted by logc_nt

You can read the machine translated English article here.