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「メンタルタフネス」を鍛えてエリートになるための考え方とは?


経済学や経営学に関する書籍の要約や解説をするブログを運営するチェスター・グラント氏が、ビジネスやスポーツにおいて成功を収める思考や精神状態を作るための「メンタルタフネス」に関する書籍「HBR's 10 Must Reads on Mental Toughness」の要点をまとめています。

Summary : On Mental Toughness by Harvard Business Review - Chester Grant
https://www.chestergrant.com/summary-on-mental-toughness-by-harvard-business-review

メンタルタフネスとは、困難な状況でも自信を失わずに対処し、成功を導いていく精神力や意志の強さ、心理的回復力を指すもので、スポーツ心理学やビジネスシーンにおいて用いられています。「HBR's 10 Must Reads on Mental Toughness(メンタルタフネスに関する10の必読記事)」は、Harvard Business Reviewが過去に掲載した記事の中から、メンタルタフネスに関係した「ビジネスにおける自発的復活力」「ストレスは、使い方を知っていれば良いものになる」などの記事を集めた書籍。本の紹介では、「精神的な強さと回復力を高め、高いパフォーマンスを達成するのに役立つ最も重要な記事を選択しました」と説明されています。


グラント氏は「HBR's 10 Must Reads on Mental Toughness」を通したテーマとなっている「メンタルタフネス」について、本を要約する形で解説しています。

・01:不可能を可能にするとき壁となって立ちはだかるのは、自分で自分を制限してしまう思考パターンかもしれない

・02:ストレスの多い状況に馴染めなければ、トップであり続けることはできない
炎上しても冷静でいられる能力は、エリートの特徴であり、先天的なものだと思われがちです。しかし実際には、自分が想像していた以上のパフォーマンスを発揮するための原動力となるのはプレッシャーであり、その意味でプレッシャーを好きになることはできるはず。そのためにも、まずは情熱的な自己研鑽(けんさん)が必要です。


・03:スポーツのスター選手が敗北から立ち直ることができる能力は、多くの場合、長期的な目標や願望に集中することから生まれる
長期的な目標や願望に集中するためのコツは、まず短期的な目標を綿密に計画することです。そして、小さな出来事ではなく大きな出来事のときに、パフォーマンスがピークに達するように調整することが重要になります。

・04:競争を利用する
陸上競技のアスリートがよく実施しているのが、「異なる国のエリート選手同士が一緒に練習する」という方法。より強い競争の中に自らを置き、それを利用するメンタルを持っています。頂点に立つことを望むなら、トップアスリートがそうしているように、自分に厳しいプレッシャーを与えるようなライバルと一緒にトレーニングする必要があります。

優れた企業は、エリート社員がお互いを押し上げ合える状況を、意識的に作り出しています。企業内の優秀な人材を集めて集中的なトレーニングを行う「人材開発プログラム」を実施している企業も少なくありません。このようなプログラムに参加することも目標のひとつになるはず。


・05:トップパフォーマーはフィードバックを求める
営業成績が優秀な人は、フィードバックを重要視しています。特に、即座にその場でフィードバックを求める傾向が強く、その姿勢はエリートの資質だと言えそう。また、エリートは成功や勝利に際してしっかりお祝いをすることにも力を入れる傾向にあります。頂点を経験したり大きな目標を達成したりしたプロスポーツ選手は、自分へのご褒美として高級な時計や車を購入することが多くあります。これらは自らの功績を思い出させるものとなり、自らの努力や献身を象徴してメンタルを支えるものです。

・06:困難な状況から学ぶ
最近の研究では、真のリーダーシップを示す指標や予測因子のひとつとして、「ネガティブな出来事に意味を見いだし、最も困難な状況からも学ぶ個人の能力」が重要だと示されています。

1967年に提唱された「学習性無力感」という精神状態は、長期にわたってストレスの高い環境に置かれた場合、人や動物はそこから逃れようとする努力すらしなくなるとされています。イヌやラット、ゴキブリを対象とした実験でも、自分ではどうすることもできない軽い痛みを伴うショックを経験すると、最終的にはそれを受け入れるだけで逃げようとしなくなることが実験で示されました。そして、人間も同様の反応をすることが示されましたが、動物でも人間でも約3分の1の割合で、無気力にならない場合があります。


研究によると、諦めない人は、挫折を一時的なもの、あるいは局所的で変更可能なものと解釈する傾向にあったとのこと。研究者らはこれを「たったこれだけのことだし、なんとかできる」と考える「楽観主義」によるものだと結論づけました。学習性無力感から人々を守るには、楽観主義の思考が効果的です。

・07:パフォーマンスの真の敵はストレスではない
スポーツの研究において、高いパフォーマンスを阻害するのはストレスではなく、「回復の欠如」だということが理解されています。ストレス自体は問題ないものの、そのストレス状態から回復することなく慢性的な状態になった場合、エネルギーを枯渇させ燃え尽き症候群や身体的な故障を誘発。結果としてパフォーマンスの大きな低下を招きます。

・08:ボディランゲージが感情に影響を与える
有名な実験では、俳優たちに身ぶり手ぶりで「怒っている状態」を表現してもらい、その間の心拍数や血圧、体温、皮膚反応、ホルモンレベル等の測定を行いました。その後、俳優たちは実際に怒りを感じる状況にさらされ、同じ生理学的測定を実施した結果、測定結果に違いはほとんどでなかったそうです。優れたアスリートはこのことを本能的に理解しており、自信に満ちた身のこなしをしていることで、ストレスの多い状況でも、やがて自信を感じられるようになります。そのため、ビジネスシーンにおいても、「あたかもそうであるかのように行動する」ことがメンタルタフネスの訓練に重要です。

・09:ストレスは私たちを衰弱させるのではなく向上させるもの
他の研究では、「ストレスは自分を向上させるものである」という考え方を生活に取り入れている人は、「ストレスは自分を衰弱させるものである」という考え方の人に比べて、仕事のパフォーマンスが高く、健康上の否定的な症状が少ないことが発見されました。

「ストレスは私たちを衰弱させるのではなく向上させるもの」と考え方を転換する方法として、ストレスが高まりそうな状況を見つめる際の「4つの視点」があります。1つ目は、危機的状況にあるとき、その原因を特定するよりも、状況を改善しようと「コントロール」すること。2つ目に、原因や責任を考えず、その状況が自分にどのようなプラスの効果を与えるか「影響」を考えること。そして、その状況や原因が限定的なのか一時的なのか、あるいはあらゆる側面に長く影響するのかという「影響範囲」と「期間」を考えます。


これら4つの視点において、可能な改善案やプラスの影響について特定したり、具体的な成果や達成目標に可視化したり、チームとしてぶつかっている壁であれば他のメンバーと協力したりして、困難な状況に立ち向かっていきます。不利な状況で、マイナス面を少しでも減らすため何ができるか、プラス面を最大化するために何ができるか、という思考パターンに入ることができる考え方が、強いメンタルタフネスを生み出す重要なファクターです。

・10:ストレスと向き合う「レジリエンス療法」
レジリエンスとは心理学用語で、困難な状況や不利な立場において、ストレスや心配事にライフスタイルを適用させ、精神的な回復を行うことができる能力のこと。ストレスやトラウマの対処に関するさまざまな研究では、困難なエピソードについて「文字にして書き出す」という行為が、個人の心理的、身体的幸福を高めることが示されています。新しいスキルを身に付けるには反復が必須となるため、レジリエンスの能力を獲得するためにも、ストレスやトラウマに関する質問に回答する「レジリエンス療法」を毎日時間を決めて取り組むことで、メンタルタフネスの向上が見込めます。

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in メモ, Posted by log1e_dh

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