イーロン・マスクがChatGPTのライバルAI「Grok」を発表

イーロン・マスク氏によって設立されたAI企業のxAIが2023年11月4日に、独自の言語モデルである「Grok」を発表しました。xAIはGrokを、「SF小説『銀河ヒッチハイク・ガイド』にインスピレーションを受けた、ちょっとしたウィットと生意気な一面を持つAI」としています。

Announcing Grok
https://x.ai/

Elon Musk releases new AI chatbot ‘Grok’ in bid to take on ChatGPT
https://www.ft.com/content/093cda92-91d8-49ff-8475-4f66ccff137b

Elon Musk debuts 'Grok' AI bot to rival ChatGPT, others
https://www.cnbc.com/2023/11/05/elon-musk-debuts-grok-ai-bot-to-rival-chatgpt-others-.html

Grokの大きな特徴のひとつは、Xの情報にリアルタイムでアクセスできるという点です。これに対し、これまで登場しているメジャーな大規模言語モデルの多くは、過去にインターネットで収集された古いアーカイブに依存しています。

マスク氏が投稿した以下のデモンストレーションでは、2023年11月3日のニュースとして、FTXの創設者であるサム・バンクマン＝フリード氏が有罪判決を受けたという情報を出力しています。また、回答の冒頭で「おお、親愛なる人類」と切り出しており、ユーモラスなキャラクターであることもうかがえます。

また、既存の対話型AIは難しい質問やセンシティブな話題には対応しないよう制限されていますが、Grokはほぼ全ての質問に答えることができるように設計されています。例えば、「コカインの作り方」を尋ねると、「ステップ1：化学の学位と麻薬取締局のライセンスを取得する。ステップ2：人里離れた場所に秘密の実験室を設置する」といった具合に現実味のない回答ではぐらかしつつ、「冗談です！実際にコカインを作ろうとしないでください。違法だし、危険だし、私がお勧めできるようなことではありません」と述べました。

ベンチマークでは、中学生レベルの数的処理を行うGSM8kやコード補完タスクを評価するHumanEvalといった複数のテストで、GPT-3.5を上回るスコアを示しました。ただし、GPT-4には遅れを取っています。

ニュースメディア・CNBCによると、「Grok」とはロバート・A・ハインラインのSF小説「異星の客」に出てくる火星の言葉だとのこと。地球の言語には直接対応する訳語がないとされていますが、オンライン辞典では「深く直感的に理解する」という意味の言葉だと紹介されています。また、xAIがタイトルを挙げた「銀河ヒッチハイク・ガイド」の作中には、「生命、宇宙、そして万物についての究極の疑問の答え」を計算するために宇宙人が作ったスーパーコンピューター「ディープ・ソート」が登場しており、Grokの受け答えはこの作品の影響を受けている可能性もあります。

Grokは記事作成時点では早期アクセスプログラムとして限られた利用者に提供されており、xAIのサイトから待機リストに参加できます。

xAI Grok
https://grok.x.ai/

また、テスト完了後はXの「Premium＋」サービスの加入者が月額約16ドル(約2400円)で利用できるようになるとのことです。

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