メモ

冷戦時代に打ち上げられた人工衛星が何百ものローマ帝国の城跡を発見している

Copyright © The Author(s), 2023. Published by Cambridge University Press on behalf of Antiquity Publications Ltd

初期のスパイ衛星によって1960年代から1970年代にかけて撮影された写真の機密指定が解除され、ローマ帝国の東の国境が活気ある貿易の場であったことが明らかになりました。

A wall or a road? A remote sensing-based investigation of fortifications on Rome's eastern frontier | Antiquity | Cambridge Core
https://www.cambridge.org/core/journals/antiquity/article/wall-or-a-road-a-remote-sensingbased-investigation-of-fortifications-on-romes-eastern-frontier/8FE59FB0D5476EA329614EEC6DC414FD

Cold War satellite images reveal nearly 400 Roman forts in the Middle East | Live Science
https://www.livescience.com/archaeology/romans/cold-war-satellite-images-reveal-nearly-400-roman-forts-in-the-middle-east

1920年代、アントワーヌ・ポイデバードという人物が航空機を用いて写真撮影を行い、シリア、イラク、ヨルダンにまたがるローマ帝国時代の遺跡116個を発見していました。ポイデバードは「正方形の形をした砦(とりで)が南北に並ぶ防衛線を作り、パルティア人や後のサーサーン朝ペルシア人の襲撃を退けた」との仮説を立てていて、この説が近年まで広く信じられていました。

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しかし、ケンブリッジ大学のジェシー・カサナ氏らが冷戦時代に撮影された写真を分析した結果、これまで知られていなかった396の砦や、砦に似た建物が発見されます。

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砦の位置を分析した結果、砦は南北方向だけでなく東西方向にも広く分布していることが分かり、ポイデバード氏が提唱した「南北にわたって砦が築かれた」との説はもはや支持されないという結論が導き出されたとのことです。

以下画像の上がポイデバード氏の考えていた分布図で、下がカサナ氏らの説を元に砦を書き加えた図です。カサナ氏らは「砦の分布から、ポイデバード氏が考えていた『砦は線を描くように並んでいた』との説は裏付けられるようです」と語りました。


今回の発見は、ローマ帝国の国境が当初考えられていたよりもはるかに流動的であったことを示唆しており、ローマ帝国と隣接するパルティア帝国との間で、人や物資を運ぶ交易キャラバンを保護していた説が考えられるとのこと。

カサナ氏らは「一辺が50~80メートルの正方形の砦が最も多いですが、一辺が最大200メートルの巨大な砦も見つかっています。砦に挟まれた道は城壁だったのか、それとも道路だったのかという謎が残りますが、スパイ衛星が撮影したような他の航空写真の機密解除に伴い、さらに多くの発見がなされると信じています」と語りました。

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in Posted by log1p_kr

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