オンラインミーティングは対面での会話よりも神経信号の伝達が大幅に抑制される

イェール大学の神経科学者であるジョイ・ハーシュ氏は、高度なイメージングツールを利用して会話中の人間の脳活動をリアルタイムで追跡するという実験を行いました。実験の結果、社会的相互作用を司る脳の領域における神経活動が、対面での会話時とビデオ通話時では大きく異なることが明らかになっています。
Zooming in on our brains on Zoom | YaleNews
https://news.yale.edu/2023/10/25/zooming-our-brains-zoom

Separable Processes for Live “In-Person” and Live “Zoom-like” Faces | Imaging Neuroscience | MIT Press
https://direct.mit.edu/imag/article/doi/10.1162/imag_a_00027/117875/Separable-Processes-for-Live-In-Person-and-Live
2023年10月25日、人間やその他生物の脳やせき髄のイメージングに焦点を当てたオープンアクセス非営利ジャーナル・Imaging Neuroscienceに、対面での会話時とZoomのようなオンラインビデオ通話ツールを使った会話時の脳の活動を比較した研究結果が掲載されました。
社会的相互作用はすべての人間社会の基礎であり、脳は人間に会った時に動的な顔の合図を読み取るべく細かな処理を行います。イメージングツールを用い、社会的相互作用が生じている際の脳活動を追跡するという研究はこれまでにも行われてきましたが、既存の研究はほとんど1人の個人を対象としたものでした。そこで、ハーシュ氏ら研究チームは2人の人間が対話している際の脳活動をイメージングでリアルタイムで分析するためのツールを開発しています。
このツールを用い、ハーシュ氏ら研究チームは実際に顔を突き合わせてコミュニケーションを行っている人の脳活動や、ビデオ会議ツールのZoomを使ってビデオ通話している際の脳活動などを測定しました。その後、「対面での会話時の脳活動」と「Zoomでの会話時の脳活動」を比較したところ、Zoom利用時は対面時に比べて神経信号の強度が劇的に低下していることが明らかになっています。

対面で会話した人の神経信号の強度増加は、注視時間や瞳孔径の増加と関連しており、脳における興奮度合の高まりを示唆しています。対面での会話時に脳の神経信号の強度が増加するのは、顔認識能力の向上に関係していると研究チームは指摘しました。
加えて、研究チームは対面で会話している人同士の脳内では、より協調的な神経活動が見られることを発見しています。これは相互作用している人同士での社会的手がかりの相互交換が増加していることを示唆しています。
ハーシュ氏は研究結果について、「全体として、対面でのやり取り中に自然発生的に起こるダイナミックな社会的交流は、Zoomでのやり取り時にはあまり目立たないか、存在しないように思えます。これは本当に強力な効果です」と述べました。

今回の研究結果について、ハーシュ氏は対面でのやり取りがいかに重要なものであるかを指摘しており、「この研究で、Zoomよりも実際に対面で人間に会っている時の方が人間の脳は活発であることがわかりました。Zoomは対面での会話時と比べて、不十分なソーシャルコミュニケーションシステムのようです」と語っています。
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