AppleがiPhoneやMacBookの修理費削減につながる「修理する権利」の支持を表明し政府による法案の議論を求める
2023年10月25日にホワイトハウスで開催された「修理する権利」に関するイベントにAppleの幹部が登壇し、修理する権利を支持することを宣言しました。
Remarks as Prepared for Delivery by National Economic Council Director Lael Brainard on the Right to Repair | The White House
https://www.whitehouse.gov/briefing-room/speeches-remarks/2023/10/24/remarks-as-prepared-for-delivery-by-national-economic-council-director-lael-brainard-on-the-right-to-repair/
近年流通しているスマートフォンやPCなどの製品はユーザーが自身の手で修理することが難しく、メーカーや専門業者に修理を依頼する必要があります。ユーザーが自身の所有物を修理できない状況には疑問の声が多く挙がっており、メーカーに対して修理部品やマニュアルの提供を求めて「修理する権利」の確立を目指す動きが世界中で進んでいます。
すでにEUやアメリカの各州などで修理する権利を認める法案の審議が進んでおり、2023年10月10日にはカリフォルニア州のギャビン・ニューサム知事が修理する権利を認める法案「SB-244」に署名しました。SB-244にはAppleも支持を表明しており、法律が施行される2024年7月1日までに修理に関する状況が大きく変化することが期待されています。
「修理する権利」を認める法律にカリフォルニア州知事が署名し2024年7月1日からカリフォルニア州で施行 - GIGAZINE
ホワイトハウスは2023年10月25日にAppleのサービス事業部門シニアディレクターを務めるブライアン・ナウマン氏を含む複数の有識者を招いて、修理する権利に関するイベントを開催しました。イベントの冒頭で国家経済会議の委員長を務めるラエル・ブレイナード氏は「Appleは本日の会議への招集の一環として、カリフォルニア州の修理する権利関連法案への支持を全国へ広げることを表明しました。これは、カリフォルニア州でも、メイン州でもミシガン州でも、ユーザーはApple製品の修理に必要な部品や工具、ドキュメントを安価に入手できるようになるということを意味しています」「また、Appleは修理する権利の全国的な法令化を望んでいます」と述べ、Appleが修理する権利を強く支持していることを明らかにしました。ブレイナード氏の当該発言は以下のムービーの4分16秒から確認できます。
White House Convening on Right to Repair - YouTube
さらに、イベントに登壇したブレイナード氏はAppleの修理する権利に対する姿勢を約4分半にわたって説明しました。ブレイナード氏による発言は同ムービーの22分39秒から確認可能で、要点は以下の通りです。
まず、ブレイナード氏は「本日の議題は修理する権利についてですが、最終的な目標は製品の寿命を延長することです。『長寿命を考慮した設計』には耐久性と修理可能性、そして継続的なサポートが含まれます。素直に言って、修理は必須のものではありません。それでもユーザーが修理を必要とする場合に備えて、Appleは修理の選択肢を拡大するための措置を講じています。(修理の選択肢を広げることが)ユーザーの財布事情や環境に良いことであることも理解しています」と述べ、修理を容易にするための施策を進めていることをアピールしました。
続けてブレイナード氏は「私たちの最新のiPhoneシリーズ(iPhone 15シリーズ)は新たな内部フレーム構造を採用しており、背面ガラスの修理が容易になっています。これにより修理費用が大きく引き下げられたとともに、製品の耐久性と修理可能性が向上しました」とアピール。実際にiPhone 15 ProおよびiPhone 15 Pro Maxでは前世代モデルと比べて背面ガラスの修理費用が約3分の1になったことが報告されています。
「iPhone 15 Pro」の背面ガラスの修理費用が格安に - GIGAZINE
さらに、ブレイナード氏は修理認定プログラムの拠点を1000カ所以上設置していることや10万人以上の技術者がApple製品の修理に携わっていることをアピールし、カリフォルニア州で成立した修理する権利を認める法案「SB-244」への支持およびカリフォルニア州と同等の修理サービスを全米で提供することを改めて宣言しています。その上でブレイナード氏は統一的な連邦修理法が必要だと主張し、連邦法修理法には「製品のセキュリティ機能やプライバシー機能を維持する」「修理に使用される部品の透明性を確保する」「メーカーが新製品の開発に集中できるように将来を見据えたルールを設定する」「州ごとのルールに違いによって生じる混乱を回避する」といったことが求められると論じました。
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