ヘリコプター墜落事故の原因が機内のiPadの落下だった疑い
2022年7月、アイダホ州で大型輸送ヘリ・CH-47Dチヌークが川に墜落する事故が発生し、操縦士と副操縦士の2名が亡くなりました。事故に関する最終調査報告書は公開されていませんが、新たに公開された事故に関する文書で、事故にiPadが関わっていたことがわかりました。
Dropped iPad implicated in fatal Rotak Chinook helicopter crash - Vertical Mag
https://verticalmag.com/news/dropped-ipad-implicated-in-fatal-chinook-helicopter-crash/
Project Summary: Aviation Investigation - 17 Docket Items - CEN22FA331
https://data.ntsb.gov/Docket?ProjectID=105544
2022年7月21日の午後、アイダホ州の消火活動に参加し、サーモン川でバケツに水をくんでいたチヌークがバランスを崩して川に墜落しました。
ただちに消防士らが操縦士のトーマス・ヘイズさんと副操縦士のジャレット・バードさんを水中から引き上げましたが、2人はケガがもとで亡くなりました。
国家運輸安全委員会(NTSB)により、機内で飛行計画の表示やナビゲーションの補助、紙の代替などとして用いられるiPadに折り曲げ跡とえぐれ跡がついていることがわかりました。
NTSBの調査員は、事故機と同じコックピット構成のチヌークを使用して調査を実施。操縦士の左ペダルと機体の間、かかとのスライドを支えるパーツの横にiPadを設置したところ、左ペダルを強く踏み込んだときに固定されていたiPadが落下し、ペダルとスライドパーツとの間に挟まってしまうことを確認しました。
さらに、パイロットの右ペダルに圧力が加わると、iPadはすき間に強く押し込まれてしまうことがわかりました。
また、副操縦士より少し背が高い男性でも、少し背が低い男性でも、詰まったiPadのところには手が届きませんでした。実際にはフライトヘルメットのバイザーが計器類に接触するため、iPadを取り除くのはさらに困難だったと考えられます。
航空安全コンサルタント会社・Aerosuranceのアンディ・エバンス氏によると、iPadを含む「電子フライトバッグ」についてはリスク対象として考慮する明確な要件がないとのこと。エバンス氏は、この墜落事故を受けてコックピット内の緩い物品を確実に固定するようになることを期待しているとニュースサイト・Verticalに対して述べました。
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