メモ

弁護士がクライアントと性的接触を持つ不正行為を行っても資格剥奪に至ることはほとんどないという指摘


アメリカの多くの州では、弁護士がクライアントと性的関係を持つことは、利益相反や機密保持などの問題があることから、禁止されています。しかし、クライアントと性的関係を持つ弁護士がいることは確認されているにも関わらず、弁護士の資格を剥奪されるケースはほとんどないことが指摘されています。

Are Attys Being Held Accountable For Client Sexual Contact? - Law360 UK
https://www.law360.com/articles/1693111


弁護士とクライアントが何らかの形で性的な接触を持つことは、アメリカの50の州のうち38の州で禁止されています。しかし、性的接触が禁止されているミズーリ州の86歳の弁護士、ダン・K・パーディは、2020年にバーノン郡刑務所に収監されていた女性クライアント4人に対して性的暴行を働きました。さらに、その件について捜査が行われていることを知りながら、翌2021年、車に同乗した女性クライアントへ性的暴行を行い、公開法廷で別の女性クライアントに痴漢行為を行ったとのこと。

告発されたパーディの処分について、ミズーリ州最高裁判所は意見が分かれ、最終的に弁護士資格剥奪ではなく、無期限の資格停止処分となりました。無期限といいつつもも、早ければパーディは2024年3月には処分解除を求める申し立てができるとのことで、「なぜこんな男が弁護士資格を持ち続けられるのか」と疑問を持ったミズーリ州最高裁判所のゼル・フィッシャー判事は遺憾の意を示しています。


法律ニュースサイトのLaw360によると、パーディほどの例は極端ながら、他にもクライアントとの性的接触をしたケースは100件以上が報告されているのですが、その事実が判明しても、資格を剥奪された事例はほとんどなく、懲戒処分や停職処分を受けた後も弁護士活動継続が認められることが多いそうです。

弁護士とクライアントとの性的接触には、合意の上のもののほか、セクスティング(画像の送り合い)、弁護士が仕事をすることに対して見返りを求めたケース、性的暴行までいろいろなパターンがあります。Law360の調査では、事件のうちおよそ10件に1件で、弁護士が法的サービス提供の見返りとして性的接触を求めたり、性的接触をしてもらうような取り決めをしていたとのこと。こうした行為を行った弁護士のうち3人が資格を剥奪されていますが、残りは停職処分が懲戒処分だったそうです。1人は、懲戒処分を受ける代わりに弁護士免許を返納しています。


過去に懲戒処分を受けた弁護士105人のうち約5分の1が複数のクライアントへの性的接触やセクハラに関与しており、また、懲戒処分を受けた弁護士の半数近くは「クライアントの公聴会に出席しない」「親権問題や離婚訴訟でクライアントの立場を危うくする」「裁判所の定めた期限を守らない」「クライアントに事件のことを知らせない」「クライアントのお金の取り扱いを誤る」といった問題行為を起こしていました。

クライアントと性的接触を持った弁護士のうち、資格を剥奪されたのは15人。しかし、資格を剥奪されるような人物は他にもいろいろな違法行為に関与している傾向があるため、クライアントとの性的接触が理由で資格を剥奪されたのかはわからないとのこと。

マーシャル大学のケイシー・ベイカー氏は、弁護士とクライアントが性的接触を持つことは利益相反や背任、機密保持などの点で問題が生じる可能性があるため問題行為だということは、事実上すべてのオブザーバーが認めていることだと述べました。

ウォッシュバーン大学のジリアン・R・チャドウィック氏は「クライアントを食いものにするような弁護士に対して、業界の自主規制がどれだけ緩いかを知れば、ほとんどの国民はショックを受けるでしょう」とコメントしています。そして、「弁護士の懲戒手続きの中で被害者の声は軽視され、彼女らの苦しみは最小化されています。この仕組みを変えなければいけません」と提言しています。

この記事のタイトルとURLをコピーする

・関連記事
ChatGPTがでっちあげた存在しない過去の判例をそのまま採用した弁護士に5000ドルの支払いが命じられる - GIGAZINE

弁護士がChatGPTを使って作成した申請書で存在しない過去の事例がでっち上げられていたことが判明 - GIGAZINE

イーロン・マスクの弁護士がTwitterデータへのアクセスを悪用したとMicrosoftを非難 - GIGAZINE

Googleがメールの宛先に弁護士を加えることで秘匿特権を不正に利用して文書を隠してきたと司法省らが提訴 - GIGAZINE

弁護士さえも「10年以内に弁護士が人工知能に取って代わられる」と考えている - GIGAZINE

in メモ, Posted by logc_nt

You can read the machine translated English article here.